「贈与税の税務調査ってあるんですか?」とご質問をいただくことがあります。
ほとんどないといってもいいでしょう。
ただ、贈与があったのでは?とあとからバレるケースもあります。
贈与税の申告もれはバレる
財産をもらった場合、年間110万円を超える財産だと、贈与税がかかり、贈与税の申告も必要となります。
この110万円というのは、たとえば、暦年課税の贈与で2人から100万円ずつもらっている場合でも、いくらもらったかで判断しますから、合計で200万円となり、贈与税の申告が必要になり、9万円の贈与税を払うことになります。
ただ、贈与のことをよくわかっていなくて、申告しないであとで税務署に見つかって怒られるということもあります。
ただ、相続税の税務調査はあるのですが、贈与の場合は税務調査はほとんどありません。
だからといって、税務署はチェックしていないかというと、そうでもなく。
申告しなくてもバレないでしょ?と思うのはかなりキケンです。
ある日突然に税務署にバレることはあります。
どんな流れでバレるのか?
税務署に贈与がわかるケースはどんなケースなのか?
具体例を挙げてみます。
家を買ったとき
自宅を買った場合、自宅の登記をします。
そのお金を親から贈与してもらったとします。でも、自宅の持ち分はすべてじぶん。
たとえば、6000万円の自宅のうち1000万円を親に負担してもらった場合、自宅はじぶんが所有しているのですから、親から自宅をもらったことになります。
なぜなら、6000万円の自宅は100%所有なのに、自己負担は5000万円だからです。
つまり、1000万円分の持分(2/3)の自宅をタダで手に入れたことと同じになります。これが贈与です。
税務署からすぐに連絡がくるわけでもありません。
買ってすぐは音沙汰がありません。
ただ、半年もすると税務署から手紙(「お尋ね」)が届きます。「自宅のお金をどうやって用意したの?」という内容の手紙が。
お金の出どころの内訳を答えて返信するわけですが、自宅の持ち主はじぶん。でも、お金は1000万円を親に出してもらったというと、1000万円の贈与です。
言わないとわからないと思うかもしれませんが、税務署は毎年の確定申告や源泉徴収票で収入状況を把握しています。
自宅の謄本も法務局からデータをもらっています。
すると、お金どうやって用意したんだろ?と疑問に思う自宅購入が見つかるのです。そこに「贈与があったのでは?」と手紙(お尋ね)を出すわけです。
すると中には、「でも、住宅を建てるためのお金をもらっても贈与税はかからない特例があると聞いた」と言いたくなる方もいらっしゃるかもしれません。
それは、「住宅のお金をもらったよ」と贈与税の申告を申告期限までにしている場合です。申告していなければ、特例を利用することができますが、申告をしていなければ、贈与税の申告も必要ですし、申告期限が過ぎてからでは特例も受けられないということになります。
スルーしていたり、シカトし続けると税務調査になる可能性もありますから、財産をもらったら忘れずに贈与税の申告することです。
保険金を受け取った
養老保険などの満期保険金を受け取ることがあります。
ここで注意しないといけないのは、「契約者≠被保険者≠受取人」とそれぞれが別の方の保険金。
たとえば、契約者が夫、被保険者が妻、受取人が子どもの養老保険契約の場合、妻がなくなるか、満期になれば、子どもは保険金を受け取ります。
ただ、保険料を負担しているのは、契約者の父ですから父から子どもに贈与があったことになります。
でも、保険金を受け取った子どもは、そんなこともつゆ知らず申告しません。
ところが税務署から手紙(お尋ね)がきます。
「保険金受け取ったよね?」と。
なぜ税務署はわかるのか?
実は、同じ理由で年間100万円以上の保険金を払った場合には、生命保険会社は、法定調書を税務署に出さないといけないことになっています。
で、この法定調書では、契約者・被保険者・受取人が誰かがわかるようになっています。

ということで、贈与になっている保険金があれば、贈与税の申告をしていないとバレてしまいます。
そもそも、生命保険は贈与税がかかるような契約をしないほうがいいでしょう。
契約時に注意です。
相続税の税務調査で
贈与の税務調査がなくても、相続税の税務調査はあります。
相続税がかからないと思って申告していない方も含めて。相続税の申告をしていなくて、あとで必要だったと税務署にわかるケースも多いです。
で、贈与税の申告は、何の関係があるのか?と思われるかもしれません。
実は、税務署は相続後に亡くなった方の預金の入出金を確認しています。
相続税の申告をするときに、過去の贈与が見つかることもあるのです。
つまり、税務署としては、相続税申告の調査で贈与もチェックしているということです。
もっとも、相続税の申告で注意しないといけないのは、贈与だと思ってせっせとお金を孫の口座に移していても、そもそも贈与になっているかどうかどうかです。
贈与になっていなければ、亡くなった方の財産として相続税の申告からモレていますし、贈与の時効は6年ですが、そもそも贈与でなければ時効も関係ありません。
ということで。
相続税の調査でも、贈与はかなりチェックされているということを覚えておきましょう。
贈与のアンテナ感度を上げておく
贈与税の申告をしていなかった場合、贈与税に加えてペナルティも払うことになります。
贈与税の負担は重いわけですから、あとでわかったときの痛みもそれなり。
バレるバレないという考えで、行動しないほうがいいでしょう。
で、お伝えしたように贈与税の税務調査がないとしても、税務署はあの手、この手で贈与がないかどうかをチェックしています。
それを避けるためには、財産をもらったら「贈与税がかかるかも…」というアンテナを高くしておくこと、期限までに申告をして必要なら贈与税を払うということを覚えておきましょう。
・年間110万円までなら、贈与税はかかりませんし、申告も不要
・特例を受けるなら、申告は必要
・相続時精算課税を利用するなら申告期限までに提出
・お金の贈与なら契約書をつくって、振込む
といったことも忘れずに。
【編集後記】
昨日はオフ。久しぶりに自宅中心で。
プラモをつくったり、長男(10)とワンピースのパズルをやったりと。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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