2024年から贈与のルールが変わったことで、相続時精算課税での贈与を検討することもあるでしょう。
相続時精算課税は子どもや孫への贈与など限られたヒトしか利用することができません。
相続時精算課税を孫が利用する場合には、その後の相続の景色も見ておいたほうがいいでしょう。
そのあたりのはなしをしてみます。
相続時精算課税は孫も選べる
贈与税の計算方法には、暦年課税と相続時精算課税の2つがあります。
何が違うのか?
ルールの詳細は、別記事を見ていただくとして、暦年課税は誰でも利用できるのに対して、相続時精算課税は限られたヒトしか利用することができないという違いがあります。
2024年からの相続時精算課税を選ぶときの落とし穴。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
相続時精算課税は、財産をあげるヒトは60歳以上の父母(祖父母)、もらうヒトは18歳以上の(子どもや孫)というのが前提です。(どちらも1月1日時点の年齢で判断)
ということは、子どもだけでなく、祖父から孫への贈与でも相続時精算課税を選べるということになります。
新ルールでの相続時精算課税では、暦年課税と同じように非課税枠(年間110万円)を使えるようになりました。
さらに毎年110万円以下の贈与なら、贈与税はかかりませんし、贈与税の申告も不要ですし、その後の相続税の計算でも、通常は「持戻し」で相続財産に上乗せして相続税を計算するところ、110万円以下の贈与については、上乗せをしなくてもいいのです。
暦年課税と相続時精算課税の非課税枠(110万円)の違い。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
相続時精算課税を選んで110万円の贈与をするならば、贈与税も相続税もかからないということです。
すると、「じゃあ、相続時精算課税がいいじゃない?」と思われるかもしれません。
そこで、今回は孫が相続時精算課税を選ぶ場合のその後の影響を取り上げてみます。
孫が相続時精算課税を選んだあとの景色
孫が相続時精算課税を選んだ場合、その先の影響も知っておきたいところです。
どんな影響があるのか?
具体例を挙げてみました。
一度選ぶと取り消しできない
相続時精算課税の最大のデメリットは、一度選ぶと2度と暦年課税には戻れないこと。
これは子どもが利用する場合でも同じです。
相続までの期間がどのくらいになるかは誰にもわかりません。
目先の考えだけで相続時精算課税を選び、あとで暦年課税がよかったといってももう来た道を戻ることはできず。
特に孫の場合には暦年課税を選んでも、相続や遺言で財産を引き継がなければ、贈与のはなしだけで、相続税の申告は必要ありません。
相続時精算課税を利用するかどうかは、これまでどおり慎重に決めたほうがいいでしょう。
相続税の申告が必要なケースが出てくる
相続税の申告は、相続人全員の連名で出すことが通常です。
通常、孫は相続人ではないのですが、相続時精算課税で財産をもらっていれば、孫は文字どおり相続税の申告で過去の贈与の精算をする必要があります。
すると、孫も相続税の申告書にも名を連ねることになりますから、亡くなった方の財産を見ることになるでしょう。
それがいいかどうか?
仮に問題ないとしても、影響は考えておいたほうがいいでしょう。
相続税が20%増しになる
孫は相続人ではありません。
ただ、孫へ相続時精算課税での贈与があった場合には、前述したように相続税の申告が必要になります。
このとき相続税を払う場合には、他の相続人よりも20%増しになります。
これは本来、相続人になる方以外のヒトが財産を相続した場合には、贈与をすることで相続税がかかるのを1回飛ばせるため、20%増しにしているということです。
なので、もし、孫が相続人の場合には、相続税は通常の20%増しにはなりません。
相続税を払うお金はあるか?
孫は通常、相続では財産を引き継ぐことはできません。
ただ、相続時精算課税を選んでいれば、相続税を払う可能性はあります。
そのときに相続税を払うだけのお金があるのか?
贈与で財産をもらったあとにすぐに相続があれば、対策のしようもあるでしょう。
でも、いつ相続があるかはやっぱりわかりません。
何十年後に相続ということもありえます。
相続税を払うことになっても困らないように、「払える」の対策は必要となります。
利用する前に先の景色も見ておく
相続時精算課税は孫でも利用できますが、新ルールでメリットが目立つようになったものの、時間の経過でデメリットが浮き出てくることもありえます。
相続までに状況が変わるのは想定外があるにしても、相続時精算課税を利用した後の状況をまったく想定していなかったというのは避けたいところです。
そうならないように、相続時精算課税を利用する場合には、メリットだけでなくデメリットも含めたその後の影響まで考えておき、選ぶのがおすすめです。
ただ、相続財産の状況や相続人によっても変わるので、もし不安なら税理士に相談してみましょう。
特に孫の場合には、相続や遺言で財産を引き継がなければ、相続税の申告はいらないわけなので、何を優先するか?
先の景色を見ながらの判断が必要でしょうね。
【編集後記】
昨日はオフ。午後からIKEAへ。
子どもの部屋もリニューアルしようかと実際に触ってみました。
だいたいの方向性は決まりました。
そのまま食事して戻ってきました。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
IKEA プラントベースカレー
IKEA ベリーベリーチーズケーキ