「90歳から相続対策をしたい」というなら精算課税も選択肢。

  • URLをコピーしました!

相続対策をするなら早いほうがいいわけです。ところが高齢になってから相続対策をすることもあるでしょう。

その対策の選択肢の1つに、相続時精算課税があります。

目次

高齢だとできることは限られる

今回取り上げたいのは、ある程度のお金(預金)をお持ちの相続を前提としたはなしです。

相続対策の秘訣はなるべく早めにをお伝えしています。相続までの期間が長ければできることはそれだけ増えますから。

ここでいう相続対策というのは、「もめない」「払える」「相続税の節税」をバランスよく対策することです。ただ、手を打つにもある程度の時間はかかるわけです。

仮に90歳なってから「対策したい」となった場合、60歳の頃と比べるとできることは限られます。今から生命保険の契約もキビシイでしょう。

とはいえ、何もしないか?できることをやるか?

もし、対策するとなった場合、お金がある相続が前提なら、贈与も選択肢の1つです。ここでは、相続税対策も含めた生前に財産をわたすという視点に絞っておはなしします。

相続時精算課税と暦年課税の違い

2024年より贈与税のルールが変わりました。贈与税の計算方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、どちらにも年間110万円の非課税枠があります。

このうち、「相続時精算課税」を選ぶ場合は、贈与した年の翌年3月15日までに税務署に事前の届出書を出すことで、はじめて利用できます。

また「相続時精算課税」には、ルールがあります。

・あげるヒト→60歳以上の父母(祖父母)
・もらうヒト→18歳以上の子ども(孫)
・毎年110万円の非課税枠のほかに特別控除(2,500万円)
・特別控除を超えた部分×20%の贈与税
・相続時には過去の贈与のうち110万円を超える部分を財産に上乗せ
・過去に払った贈与税は相続時に精算
・一度精算課税を選ぶと二度と暦年課税に戻れない

などなど。暦年課税に比べるとかなりルールがあります。

詳しくはこちらの記事にまとめています。

暦年課税と相続時精算課税の非課税枠(110万円)の違い。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG

2024年からの相続時精算課税を選ぶときの落とし穴。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG

前述したように。相続対策を始める年齢が90歳だとすると、相続にたどり着くまでの期間は長くない可能性が高いです。100歳超える方もいるにはいるのですが、あと数年だと仮定しましょう。

ここで毎年110万円のお金を贈与した場合、どうなるか?

相続税の計算をするときに「暦年課税」と「相続時精算課税」では、相続財産に上乗せする「持戻し」のルールに違いがあります。

暦年課税の場合は、相続開始前7年分が相続財産に上乗せ、ただし、4年前から7年前までの贈与でわたした財産額からは合計100万円をマイナスします。

白い部分は相続財産への上乗せがありません。緑の部分は持戻しされます。つまり、7年を超える部分には相続財産への持戻しがありません。贈与税を払っておわり。ちなみに相続直前に贈与した財産は、全額相続財産に上乗せとなります。

いっぽうで、相続時精算課税を選んだ場合には、たとえ前年の贈与でも、110万円以下の部分に限って相続財産への上乗せがありません。

また、贈与のあった年にも110万円以下の贈与ならもらった子ども(孫)は贈与税を払っていません。(届出書の提出は最初の年に必要)

ここで気づかれたかもしれませんが、相続時精算課税を選び、110万円以下の贈与であれば、贈与税も相続税もかからないということになります。

たとえば、子どもや孫など合計4人に110万円ずつ、5年間贈与したとすれば?110万円×4人×5年で2200万円。

生前に贈与しても贈与税がかからない、相続税の計算で相続財産にも上乗せされない金額です。相続税を払うなどの「払う」の対策としても充分な金額ではないでしょうか。(ただし、「財産をあげたい」という気持ちがある前提です。)

贈与契約書をわざわざつくったほうがいい理由。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG

暦年課税と相続時精算課税のどちらを選べばいいのか?

通常は悩ましいところもあるのですが、もし、90歳になってからの相続対策ということであれば、相続が見えているからこそ、「相続時精算課税」を選ぶのも1つの道です。

前述したように、相続財産に余裕資金がある前提でのはなしです。じぶんのためにお金をつかうのも大事なことですから。

90歳だからこそ大事なこと

90歳と高齢になるからこそ、気にしておきたいこともあります。

判断できるかどうか?

贈与にしても、財産を売ってお金に変えるなど整理するにしても、契約ができることが前提。

ところが判断ができないようだと、一切の契約ができません。

贈与には「あげる」「もらう」というお互いの意思表示が必要。「あげる」という意思表示ができないと贈与はできません。

また、契約ができないのですから、不動産を売ってお金に変えるなんてこともできません。そう考えるとやっぱり相続対策は、はっきりとした意思表示ができる早いほうがいいということになります。

ただ、たとえ高齢になっても、何もしないのか?何かできることをするのか?

可能性の問題もありますが、90歳になってもできることはあるということです。


【編集後記】
昨日はオフ。卓球をやってから、午後にカフェへ。穴場を見つけました。また行ってみようかなと。その後はバッティングセンターに行ってみました。ほとんど行ったことがないのですが、楽しめました。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」
プチブレットカフェ
知多スポーツクラブ TOPS
家族でバッティングセンター


この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次