「孫に贈与すれば相続税がかからない」の意味とは?

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「孫に贈与したら相続税がかからない」とはどういうことか?とご質問を受けることがときどきあります。

その意味とその例外についてお話しします。

目次

贈与でもらった財産に相続税がかかる理由

贈与は生前のうちに財産をあげる、もらうという契約。

お互いの合意があってはじめて成立する契約です。

で、財産をわたす人にとっては、誰に贈与をするかは自由。妻、子ども、孫だけでなく他人に贈与することもできます。

ただ、その後に贈与した人が亡くなって相続税がかかるときは、相続人が過去に贈与でもらった財産のうち、相続から3年以内(7年以内)の財産は「持ち戻し」として相続財産に上乗せして相続税を計算します。

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ということは、生前に贈与でもらった財産にも相続税がかかるケースがあるということです。その代わりに贈与税を払っていれば、相続税を払うときにマイナスできることになっています。(暦年課税で相続税<贈与税の場合は相続税が限度)

では、ご質問いただいたはなしで「孫に贈与すれば相続税がかからない」とはどういうことでしょうか?

「孫に贈与したら相続税がかからない」の意味

前述した「持ち戻し」は、相続があったときに贈与した財産を相続税の計算で相続財産に上乗せするというもの。

贈与したことで相続財産から減った財産の一部を上乗せして相続税を計算するので、相続税がかかるのと同じことになります。

ただ、この「持ち戻し」の対象になるのは、相続か遺言で財産を相続した人に限ります。

ということは、相続人として子どもがいる場合には、その下の世代である孫は相続人にはなりません。

すると、たとえ亡くなる前日の贈与でも、孫に財産を贈与した場合には贈与税を払うことはあっても、相続税を払うことはないということになります。

これが「孫に贈与したら相続税がかからない」の意味です。

じゃあ、孫に贈与をすれば相続税がかからないかというと、そうとも限りません。

孫が贈与でもらった財産が相続のときに「持ち戻し」の対象になって相続税がかかるケースもあります。

孫に贈与しても相続税がかかるケース

孫が相続人でない場合でも、相続税がかかる場合もあります。

次のようなケースです。

遺言書で孫に財産をわたす場合

遺言書で財産を孫にわたすことになっていた場合は、孫は遺言書によって相続財産を引き継ぐことになるので、贈与で受け取った財産に相続税がかかります。

なお、相続人として子どもがいる場合には、相続税は2割増しになります。

ということで、遺言書で孫を財産の受取人にすると、「持ち戻し」+相続税2割増しということになるので注意です。

孫に相続時精算課税贈与をしている場合

2024年にこれまでほとんど利用されていなかった「相続時精算課税」が見直されました。

相続時精算課税を選ぶ場合には、財産をあげる人ともらう人の範囲が決められています。

財産をもらう人は、18歳以上の子どもまたは孫と決まっているので、孫も「相続時精算課税」を利用できるのです。

もし、「相続時精算課税」を選んで生前に財産をもらった場合には、たとえ100年前の贈与だとしても相続財産に上乗せして相続税を計算することになります。

ただし、年間110万円以下の金額については「持ち戻し」にはなりません。

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孫が相続時精算課税で財産を受け取った場合、相続や遺言で財産を引き継がないとしても、相続税がかかりますし、2割増しになるのも先程の遺言の場合と同じです。

孫が生命保険金の受取人になっている場合

孫が遺言書でも財産を受け取ることになっていない、相続時精算課税を選んでいないとしても。生命保険金の受取人になっている場合は、贈与で受け取った財産が「持ち戻し」の対象になって相続税がかかります。

…というと、遺言もないし、相続時精算課税も選んでいないし、生命保険金を受け取っただけだよねと思われるかもしれません。

実は相続を原因とした生命保険金を相続人以外の方が受け取った場合には、相続税の計算をする上では、遺言で受け取ったのと同じ扱いになります。

さらに相続人でないため、生命保険の非課税枠も利用することはできません。

つまり、孫を生命保険金の受取人にすると、生前贈与していた財産が「持ち戻し」になって相続財産が増えてしまう、生命保険の非課税枠が利用できない、さらに相続税が2割増しになるというトリプルパンチです。

ということで、「孫に財産を贈与すると相続税がかからない」というご質問については、確かにそういう面もあるのですが、お伝えしたように相続税がかかるケースもあるというのが答えになります。

孫に贈与したくて贈与するのはいいものの、メリットもデメリットもあることを知っておいていただければ。


【編集後記】
昨日はオフ。早朝に長男(9)たちとサッカーの練習。その後は妻と3人でドライブへ。弥富市のベーグル屋、その道中で見つけた海南子どもの国では長男(9)と2人で自転車ボートに乗って岸にぶつかりそうになったスリルを楽しめました。あとは自転車ゴーカートも。その後、妻の希望で一宮市の神社、お店に行って帰ってきました。夜は家族4人でさがみ。四川みそにこみを。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
EWALU チョコくるみベーグル
海南こどもの国
堤治神社


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