相続対策として、誰にどの財産を残すかを生前に考えることがあるかもしれません。その相続財産のうちに面積の大きい土地がある場合は、少し立ち止まってみたほうがいいかもしれません。
土地の評価は所有者ごと利用者ごと
相続後に土地をどう引き継ぐか?
相続人が複数人いれば、わけるのもカンタンではありません。
財産をなるべく均等に分けるように土地を兄弟で共有しているケースも目にしますが、その後の相続で権利を持った人が増えてしまうようなケースもあり、おすすめしていません。
いっぽうで、相続後に土地を分割して相続人それぞれで引き継ぐというケースもあります。相続対策をにらんで相続前に分けておくというのも。
たとえば、父が持っている土地を相続時に
長男と長女が分割して相続するというケースもあります。土地は持ち主ごと、土地の利用者単位で評価することになっています。つまり、長男の土地と長女の引き継いだ土地は、別々に評価することになります。
で、全体700㎡で道路2つに接している土地として評価するところを、分割したことで
・長女が引き継いだ土地→道路1つの土地
・長男が引き継いだ土地→道路2つに接している土地
としてそれぞれ評価することになり、長女が引き継いだ土地については道路に接している部分が1つになるため、評価額が下がることになります。
相続後に分筆して相続することもできますし、相続前に対策としてあらかじめ分筆しておくこともあるでしょう。
ただ、分筆することがデメリットになるケースもあります。
それは土地の面積が500㎡以上のケースです。
面積が大きな土地の評価額が下がる理由
土地の面積が大きな土地は、価値が高いかというと必ずしもそうではありません。
不動産会社の立場で考えてみます。
不動産会社が家を建てるときには、土地を買ってそこに家を建てます。ただ、面積が大きすぎる土地は、どうしても仕入れ値が高くなってしまいます。つまり原価が増えます。
さらにその土地を戸建分譲の土地とするなら、その土地に道をつくりますが、売れる部分ではなくなります。いっぽうで、家を1軒建てられるくらいの面積の土地なら道路をつくる必要はありませんので、原価は抑えられます。
ということで。分譲住宅地にもなりそうな大きな土地の場合には、評価額を減額できる場合があるのです。
条件は4つあるのですが、ここで取り上げたいのはその1つ、土地の面積。
3大都市圏、いわゆる都会とされている地域なら500㎡、それ以外の地域の土地なら1000㎡以上の土地であることが条件です。
「地積規模の大きな宅地」の詳しい内容は、以前にこちらの記事で解説しています。
広い土地が相続財産になるなら考えておきたい「地積規模の大きな宅地」のこと。 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
どのくらい減額できるか?地域や土地の広さにもよりますが、20%以上、金額にすると1,000万円以上の評価額が下がるケースもあります。
相続税の負担、「払えるか?」という点まで考えると、決して無視できないでしょう。
ここで注意したいのは、「地積規模の大きな宅地」に該当するかどうかの土地の面積は、利用単位ごとに判断されるという点。
もし、土地を分割してそれぞれの相続人が引き継いだら、所有者ごとに1利用単位となりますから、700㎡ではなく、350㎡での判定になります。となると、500㎡未満なので「地積規模の大きな宅地」での評価減ができないことになってしまいます。
それを知っていて分割するならいいのですが、「それを知っていたら分割しなかったのに…」というのは、避けたいものです。
「揉めない」と「節税」の瀬戸際
相続対策といえば、節税だけではありません。「揉めない」、「払える」の2つについても考えておく必要があります。
ただ、前述した「地積規模の大きな宅地」などのように土地を分けてしまうことで、相続税の負担が大きく変わってくるケースもあります。
いっぽうで引き継ぐ財産が土地が多いと、分けにくくなり揉める原因にもなりえます。
大事なのは、どう分けるか?どの財産を誰が引き継ぐかをある程度想定しておくこと。その流れで面積の大きい土地がある場合は、どうするかも検討しておくことです。
相続後でも決められることですが、相続税の申告期限もありより限られた時間での判断となります。
広い土地をお持ちなら、相続を踏まえて税理士に相談してみるのもいいでしょうね。
「揉めない」と「相続税の節税」のバランスを取ることで、対策のお金を用意するなど「払えるか?」の対策でやっておきたいことも決まってきます。
土地の面積が大きいと評価額も大きくなりますから、今回ご紹介したように広すぎる土地は減額できるケースもあると知っておいていただければ。
【編集後記】
昨日は午前中に子どもたちとサッカーの練習の予定でしたが、夜中に雨が降ったので中止。長男(9)ちょっと凹んでましたけど、意外と回復が早く。午前中にクルマのミラーカバーを取り付けたり。その後はセミナー参加で名古屋へ。学びも多く、夜の懇親会までじっくり楽しめました。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
ヒルトンのビュッフェ