「相続税が高い」という印象を持たれることも多いです。ただ、本当に高いのかどうか。
相続税よりも先に考えておきたいことについて、お話します。
「相続税がかかるでしょ?」
相続税がかかるというと、
- すごく高い
- 財産のほとんどを税務署にとられる
- 払えない
という声はこれまでに耳にすることがあります。
確かに相続税が高くなることもあります。
相続税を抑えるために生前のうちに贈与をする相続税対策がうたわれます。
ただ、相続税がかかるといっても、必ずしも高額とは限りません。
持っている財産額に比べて相続税が少なくなるケースもあるのです。
ときには、財産が6,000万円あるのに相続税がかからないことも。
その1つが「小規模宅地等の特例」などの特例を使えるケース。
自宅の土地や事業で使っている土地の評価額が小さくなる場合があるのです。
条件をクリアしていれば限度面積までは2割の評価でいいのです。
小規模宅地等の特例で相続税は大きく減少する 税額がゼロでも申告は必要 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
たとえば、5,000万円の土地でも限度面積(400㎡や330㎡)以下なら1,000万円の評価。
賃貸している土地でも200㎡まで50%の評価で済みます。
想定していた財産額に比べて、相続税が安くなる特例が利用できる場合があることを知っておきましょう。
相続税は本当に高いのか?
「うちは相続税がいくらになるの?」と質問いただくことがあるのですが、これは何ともいえません。
高いか、そうでもないかの感覚も人それぞれ、財産額にもよります。
実際に試算してみましょう。
たとえば、相続人が3人(妻、子ども2人)の場合、財産が1.5億円(小規模宅地等の特例を利用した後)を法定相続分でわけたとすると相続税は748万円です。
相続財産が1.5億あって、相続税748万円。相続財産全体からすると相続税の割合は5%です。
もし、小規模宅地等の特例を利用していなかったら相続税はもっと高くなります。
同じ条件で小規模宅地等の特例を利用したあとの財産が6,000万円なら相続税は60万円。
財産に占める相続税の割合は1%程度。
1%程度なら怯えるほどではないかもしれません。
少なくとも
- すごく高い
- 財産のほとんどを税務署にとられる
- 払えない
という印象ではないでしょう。
相続税の節税より先に考えておきたいこと
ただし、実は相続税が高いかどうかは目先の税金だけでは判断できません。
次のようなことは考えておきましょう。
2次相続は大丈夫?
先程のケースで妻の2次相続(妻の個別財産1,000万円あり)も含めて考えると印象はかなり変わります。
1次相続の財産が1.5億円の場合は、1次相続で配偶者がいくら財産を相続するかで相続税はかなり変わります。
配偶者が相続で何割ほど引き継ぐかによって、相続税が1,100万円から2,100万円まで変わります。
いくら目先の相続だけ見ていたところで、2次相続で相続税の負担が増えることもありますから、目先だけで相続税が高いか、そうでもないかの判断はできません。
でも、ほとんどの方が2,100万円は高いと感じるでしょうね。
同じように。
1次相続で6,000万円の財産の場合も妻の2次相続(妻の個別財産1,000万円あり)まで含めてみると、このくらい変わります。
2次相続(次の配偶者の相続)では
- [夫からの相続財産+じぶんの財産]に相続税がかかる
- 基礎控除額も3人→2人になる
- 配偶者の税額経験が使えずに税負担が増える
といった理由から、配偶者の個人財産が多いと税負担が増える傾向にあります。
ただ、2次相続で320万の相続税がかかるといっても、実際に2次相続がやってくるまでに生活のためにお金を使ったり、生前贈与をすればまた変わりますから、現状で2次相続での相続税が高くてもやりようはあります。
揉めないか
「小規模宅地等の特例」は、土地の分割が確定した場合にはじめて利用することができます。
分割が決まらないと、未分割でいったん多くの相続税を払うことにもなります。
土地の評価額は20%ではなく、100%で評価しないといけないので、支払う相続税も増えます。
揉めたことで本来いらない相続税を払うためのお金を準備する必要がありますし、分割がまとまったら改めて申告をすることにもなるでしょう。二度手間です。
揉めてしまうと相続税の負担感は増えてしまいます。
分けやすいか
揉めにくくするためには、財産が分けやすいことが前提です。
相続財産の大部分が不動産なら、たとえ財産が1.6億円あったとしても、相続税748万円を払うのにもお金を準備しないといけなくなることも。相続財産に預金がなく、相続人がじぶんのお金で相続税を払わないといけないとなると負担感は高くなります。土地を売るにもすぐに売れるともかぎりません。
いっぽうで、財産が6,000万円でも相続財産に預金が多ければ、相続財産を分けやすくなりますし、相続財産の預金を元手に相続税を支払うこともできます。
小規模宅地等の特例を使える可能性があったのに、相続まで見逃していたとなると相続税も増えてしまいます。
相続というと、目先の相続税ばかりが気になりますが、揉めてしまうと支払う相続税は増えます。
また、わけにくい財産が多いと揉めやすくなりますので、財産の構成は生前のうちにわけやすいように見直しておくべきです。
ということで。相続税が高いかどうかの前に、
- 揉めずに分けることができるか
- 分けやすい財産構成になっているか
- 小規模宅地等の特例を使えないか
といったことを生前のうちに検討しておきましょう。
【編集後記】
昨日はオフ。午前中にオンラインセミナーに参加。その後に長男(8)と2人で外出、交通公園や買い物などへ。夏休み最後の日曜日を楽しみました。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
ミニストップ 果実氷巨峰
長男(8)と2人でびっくりドンキー