相続税の税務調査があると、まず何かしら見つかる可能性があります。その確率は8割以上。
中でも見つかりやすいのが名義預金。
税務調査で税務署がやってくる可能性を下げる方法の1つが、この名義預金を対策することです。
税務調査で見つかる名義預金って?
相続税の税務調査があると、8割以上の確率で何かしら見つかります。もっとも見つかりやすいのが名義預金です。
名義預金とは何かがわからない方のために説明しておくと、預金口座の名義は妻や子どもだけど、実際にお金を入れているのは本人ではなく、夫だったという場合。
これは名義預金になります。
夫の口座から妻や子ども、孫の口座にお金を移したからといって、それが妻や子どもの財産になるわけではありません。じぶんのお金を別の口座に動かしているだけというイメージです。
「これは贈与したんです」といっても、
- 預金口座には預け入れだけで引き出しされていない
- もらったことを本人が知らない
- 贈与契約書もない
- 贈与税の申告もない
- 預金口座の管理をお金をあげた人がしている
となれば、税務署から「これは名義預金でしょ?」と言われても仕方がないでしょうね。
どうしてお金が増えたのか?
どんなケースで、税務署から「このお金は名義預金ですね」といわれるのか?
名義預金はどうやって誕生するのか?
まずは、どうやってお金が増えたのかを考えてみましょう。
たとえば、学生である子どもの預金残高が2500万円あったとして。
その2,500万円というお金はどうやって増えたのでしょうか。
考えられるのは次の3つです。
過去に仕事をしていたなど収入の理由がある
過去にアルバイトして貯めた、というのであれば。
学生が数年で2500万円も貯めることができるアルバイトはどんな仕事なのか、興味があります。
また株でもうかって売った、相続した土地を売ったというのであれば、税務署に出した確定申告書を見れば、それが事実なのかはわかります。まぁ税務署は調査前にすでに調べています。
でも、まだ学生です。
それほどの金額が貯まるのはちょっと考えられません。
例外で宝くじに当選したというのもありますけど。
それも調べればわかるでしょうね。
参考までに、これがもし妻の口座だとしたら?
妻が専業主婦で若いときに仕事で稼いだというなら、そのタイミングでお金が増えているはずです。
でも、専業主婦になってからお金が増えていたら、やっぱりその理由はあるはずです。
妻の預金口座の過去の入金履歴、源泉徴収票などを見ればわかります。
相続で引き継いだ
おじいちゃん、おばあちゃんから相続で預金を引き継いだというなら、確かにそれはお金が増える理由にはなるでしょう。それも10年程度なら預金口座の履歴からわかります。
相続があったかどうかは、登記簿謄本を調べればわかりますし、場合によっては相続税の申告をしているかもしれません。嘘をついていてもバレます。
贈与でもらった
贈与でもらったかどうか。これがいちばん判断がややこしいところ。
- 夫の口座から子の口座にお金を移している
- 贈与をした
というのは紙一重です。
贈与は「あげる」「もらった」というお互いの意思表示ができている契約です。でも、それを証明するのはカンタンではありません。
口頭でも贈与の契約はできますが、税務署に「口約束で贈与したんだ」と伝えたとしても「そうですか」とはなかなかなりません。
それはなんとでも言えるし、でっち上げだと性悪説で考えるでしょうから。
特に前述したように
- 子どもが預金口座の存在を知らない
- 口座の入金履歴だけで引き出した様子がまったくない
- 贈与税の申告もされていない
といったことがあると、名義預金と判断される可能性が高いです。
名義は違うけど実はお金の持ち主は夫だったとなれば、その名義預金は夫の財産として考える必要があります。
相続税の申告があるなら、相続財産に含めて申告しないと、今回のように税務調査がくる可能性があります。
妻や子どもの口座名義だからバレないでしょ?と思われるかもしれませんが、税務調査の前に親族の口座もチェックしていますからバレます。
税務署に見つかった後だと、追加の相続税に加えてペナルティも払わないといけなくなります。
そうなるのは、避けたいものです。
ちゃんと贈与する
ということで、税務署が税務調査で来る確率を下げるには、この名義預金の対策をするのが1つです。
何と言っても、いちばん見つかるのは相続した預金のモレですから。
そのためにも、ちゃんと贈与をするのがいいでしょう。
- 贈与契約書をつくる
- お金を振り込む
- 贈与税がかかるなら申告する
- 口座の管理はもらった人がする(通帳・はんこ)
- すでに名義預金があるなら、本人の口座に返金して改めて贈与する
- 相続税の申告でわかったなら、申告して分割協議書にも含めておく
といったことをやっておきましょう。
特に贈与契約書は「あげた」「もらった」の意思表示をしたことを残せるので欠かせません。
名義預金かどうかがいまひとつわからない
名義預金があったけどどうすればいいかわからない
といった場合は、相続に詳しい税理士に相談するのがいいでしょうね。
不安を抱えた今の状況を解決することができたり、相続の疑問、今後の相続対策、相続税申告などについてもアドバイスを受けることができます。
贈与契約書のサンプルはこちらにもあります。
贈与をするなら贈与契約書をつくる その前に確認しておきたい5つのポイント | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 OFFICIAL BLOG
【編集後記】
昨日はオフ。朝は長男(8)とサッカーをやる予定でしたが、雨だったので中止し、自宅で。午後は気分転換で図書館の自習室に行ってみました。パソコンもオッケーなのですが、触りにくそうなのでもういいかなと。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
図書館の自習室