相続財産に不動産が多い場合、特に早めに相続対策をするべきです。
その理由をお話します。
わけにくい相続財産とは?
将来の相続を踏まえたとき、どんな財産があるのかは人それぞれ。
ただ、分けやすい財産と分けにくい財産があります。それによって相続の難易度は変わります。
分けやすいのは、預金や上場株式などお金に変えやすいもの。
預金は金額で分けることができますし、株も銘柄ごとや株数で分けることができます。
単位が小さいのでわけやすいのが特徴。
いっぽうで、分けにくいのは不動産。
1つの目的で利用されている土地を分けるのは、カンタンではありません。
相続財産の内訳を見たときに、預金はちょっとだけ、不動産の割合が多いという場合には、生前の対策が欠かせません。
相続税がかかるかからないに関係なく、生前の相続対策を早めに検討したほうがいいでしょう。
不動産の割合が多いなら早めに考えておきたいこと
相続財産に不動産の割合が多いとき、次のようなことを検討しておきましょう。
相続人同士で分けられるか?
不動産の割合が多い場合、その後の相続を見据えたときに相続人同士で分けることができるかどうか、考えておく必要があります。
相続税がかかるときばかりでもありません。少ないときこそわけにくいです。
たとえば、
- 相続人は子ども2人(長男、長女)
- 相続財産のうち、自宅不動産の評価額の割合が高い
- 長男家族が同居している
という場合には、相続財産を分けやすいとは言えないでしょう。
長男が自宅を相続したとしたら、長女が少ない預金ではまとまらない可能性もあります。
分割のために家を手放さければいけないというのは避けたいところです。
ちなみに共有はおすすめしません。生前に分割がまとまりやすいような対策は必要でしょう。
不動産を共有で相続するのをおすすめしない理由 私がお伝えしているただ一つのこと – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
ある程度、広い土地なら分筆して分けることもできますが、土地の評価の問題から分筆することで相続税がかえって重くなるケースもあり、カンタンではありません。
広い土地が相続財産になるなら考えておきたい「地積規模の大きな宅地」のこと。 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
遺言書を書いておく、保険金を利用して分けやすいお金を準備するなども検討したほうがいいでしょう。それならやっぱり早いうちに、です。
相続で分けにくい不動産を相続人で共有しない道。代償分割という方法。 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
相続税を払えるか?
相続税がかかるなら、相続税を払うお金が準備できるかどうかも大事です。
相続財産のうちに不動産の割合が多い場合、預金が少ないということもあるからです。
不動産が複数あって評価額が大きいと相続税を払うお金を相続財産から出せないということも。
そうなると、相続人が手元のお金から払うことになりますし、カンタンに払えない金額の場合もあります。
やはり相続税を払うためのお金の準備は必要になります。
まずは税理士に相談して、相続税がいくらかかるかシミュレーションしてもらうのがおすすめです。
それを踏まえて、不動産の優先順位をつけて売ってお金に変えることを検討する。
生命保険をかけておき、非課税枠を利用して納税資金を準備するなどは検討したほうがいいでしょう。
相続対策としての生命保険金がもめない対策になる理由。 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
小規模宅地等の特例を利用できるか?
不動産を相続する場合、「小規模宅地等の特例」を利用できる可能性があります。
要件をクリアできれば、自宅なら330㎡までの評価額を20%にできますし、事業用、アパートなどの土地でも同様の評価減ができます。(ただし限度面積はあります。)
不動産を相続するなら、「小規模宅地等の特例」を適用できるかどうかは相続を踏まえても大きなカギを握ります。
適用できるかどうかは検討したほうがいいでしょう。
ただし、相続税の節税ばかりを優先してムリに「小規模宅地等の特例」を利用しようとすると、かえって揉める結果にもなるので、節税ばかりを優先することはおすすめはしません。
揉めないように事前に話し合うなど、バランスをとることが大事です。
相続対策の原則は変わらない
生前の相続対策は、「揉めない」「払えるか」「相続税の節税」。
その原則は変わりません。
相続税の節税を優先しすぎても、揉める結果になりますし、また財産を分けられないと揉めやすくなります。
未分割で相続税の申告をするとなると、特例を使えず相続税を払うためにいったん必要以上に多くのお金を準備することになります。
相続税の行き過ぎた節税で損をする理由。 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
ご自身の長生きのためのお金を残しつつ、3つの対策をバランスよく考えていくことが必要です。
それによって残された家族が困らないようにする結果にもなります。
相続が近くなるほどできることは限られますし、相続後に相続税を払うために土地を売ろうとしてもすぐに売れるわけでもありません。
ということで、相続財産の内訳を変えるためにも早めに検討することがおすすめです。
【編集後記】
昨日は法人の決算、そのあとはカフェでHPのカスタマイズ、その帰りに写真撮影。帰ったら長男(8)が公文式の教室に忘れ物をしたとかで、夕方にいっしょに取りに行きました。わ、忘れものしやすいのは親譲りかも…。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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