相続税を減らすときに「小規模宅地等の特例」を検討することは欠かせません。
とはいえ、おすすめできないケースもあります。それは妻が「小規模宅地等の特例」を利用すること。その理由をまとめてみました。
「2次相続」も込みで考えるべし
「相続税を払うのはなるべく少なめがいい」というのはどの相続人でも考えることでしょう。
「配偶者の税額軽減」という特例があります。
配偶者の方が相続した財産、1.6億円か法定相続分のうち低い方までは相続税がかからないという特例です。
1次相続にあって2次相続にない配偶者の税額軽減 「払えるか?」は先まで考えておく – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
となれば、なおさら「お母さんがすべて相続すればいい」と考えるかもしれません。
「相続税がかからないなら…」と。
確かに夫の相続では、相続税がゼロになったり、相続税を大きく減らせるということはあるでしょう。
ただ、前述したように次の相続があります。そう、妻の相続です。
1次相続で夫の相続があり、「配偶者の税額軽減」で相続税をゼロにできたとしても、次の妻の相続のときにはその特例がありません。
もともと、妻がもっていた財産+夫の相続財産の合計が相続財産になります。
結果として、2次相続で高額な相続税を払うことにもなりえます。
相続があった場合にはやっておきたい 2次相続の景色をざっくり見ておくこと – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
ということで、生前に相続対策をするとき、相続後に分割するときには、2次相続までを踏まえてどう相続するかを考えておく必要があるでしょう。
1次相続では目先の相続税を払ったとしても、1次相続で子どもに相続してもらうことも選択肢です。
妻(配偶者)が小規模宅地等の特例を利用しないほうがいい理由
2次相続を踏まえて検討したいのは、何を妻が相続するか、何を子どもが相続するかという点です。
何を相続するかは、遺言書があれば遺言書のとおりに、なければ遺産分割の話合いで決まります。
遺言書がなければどうわけるかは自由です。
ただ、気をつけたいこともあり、それが「小規模宅地等の特例」。
「小規模宅地等の特例」というのは、自宅や貸付ている土地など、一定の土地を相続した場合には、土地の評価額が20%や50%になるという特例です。(限度面積あり)
小規模宅地等の特例で相続税は大きく減少する 税額がゼロでも申告は必要 – GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
土地の評価額が20%や50%になるというのですから、その影響はそれなりです。
たとえば、3,000万円の土地なら評価額は600万円になるのですから、節税だけでなく「払えるか?」の対策にもなるものです。
で、条件をクリアしたどの土地で「小規模宅地等の特例」を利用するかは相続人の話し合いで決まります。
基本は話し合いでいいわけです。
ただ、「小規模宅地等の特例」を妻が相続する土地で利用するのはおすすめしません。
なぜなら、前述したように妻は「小規模宅地等の特例」以前に「配偶者の税額軽減」を利用できます。
妻は「小規模宅地等の特例」を使わずとも相続税がかからない可能性が高いです。
別に土地があるなら、配偶者以外の相続人が相続した土地で「小規模宅地等の特例」の利用を検討したほうが2次相続までの相続税を減らせます。
生前に不動産の利用方法を検討する
「小規模宅地等の特例」は、相続があった時点で判定します。
亡くなった方の持っていた土地を誰が相続して、どう利用するかがポイントです。
となれば、生前に
- 土地の利用方法を見直す
- 子どもが土地を相続する
- 小規模宅地等の特例の条件を確認する
といったことを検討しておきましょう。
また、
そもそも、組み替えする必要があるかどうか。
2次相続までを含めて相続税がいくらかかるのか?
など事前のシミュレーションも。
相続対策と行っても「相続税の節税」「払えるか?」だけでなく、「もめない」も大事です。
やみくもにやってもうまくはいきません。
「もめない」「払えるか」「相続税の節税」をバランスをとりつつ対策することが欠かせません。
【編集後記】
昨日はオフ。セミナーのスライドを少し見直し。子どもたちとジェンガをやったり、長男(8)と久しぶりにゲームもやりました。FIFA23とスマブラと2回ずつ。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
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