せっかくじぶんの会社の決算書をつくるなら、使いやすいように工夫したいものです。
税金の計算のためだけの決算書というのは、避けたいものです。
「年間(毎月)いくら返済していますか?」
数字をチェックするとき、1月、年間、毎月という単位はよく使われます。
「毎月の固定費はいくら?」
「年間の利益見込みはいくら?」
というように。
お金がある限り、仕事はずっと続くわけですが、考えやすくするために年間や月で区切って考えます。
ときには、お金を借りることも必要でしょう。
ただ、借りたその後、借りたお金を返済していく必要があります。
そのときに、年間の利益(当期純利益)と年間の減価償却費、それと借入金の年間返済額を比べることがあります。
銀行は、決算書からざっくりで「当期純利益+減価償却費」を返済の財源と考えています。
ここで、なぜ減価償却費が出てくるか?という疑問はあるかと思います。
それは、減価償却費は経費になるけど、お金は減らないという特徴があるからです。
経費であるがゆえに利益からはマイナスされているわけですが、お金は出ていかないので利益に足し戻して、返済の財源と見ているわけです。
「?」となるかもしれませんが、そういうものだと思っておいていただければ。
いっぽうで、借入金のうち元本返済額は、経費にならないけど、お金は出ていくという特徴があり、相反するものです。
- 減価償却費 →経費になるけど、お金は出ていかない
- 借入金返済元本→経費にならないけど、お金は出ていく
というように。(利息は経費になります。)
お金を借りているなら、この3つの数字をすぐにわかるようにしておきたいものです。
「えー、いくら返しているんだろう?」と返済表をその都度、とりだして計算しなくてもいいように。
それを決算書でわかるように、年間の返済額を表示しておくべきです。
年間の返済額がわかる科目
年間の返済額を表示する科目があります。
それが流動負債に表示する「1年以内返済長期借入金」という科目。「短期借入金」とはまた別の科目です。
この科目には、長期借入金のうち1年以内に返済する元本の金額を表示します。1年を超える分は長期借入金のままです。
複数の銀行から借りていれば、その合計金額を。
決算書、会計ソフトに表示しておけば、少なくとも、その都度計算する必要はなくなります。
それで決算書を見て「年間返済額は270万円ですね。」とサッとわかるし、その後も何度も見ればそのうち頭に入ります。
たかが表示ですが、されど表示。
数字は程度がわかりやすいのですが、これが決算書となると、とたんに難易度が増します。特に貸借対照表は。
それゆえに、何度も数字に触れないと、年間でいくら返済するか?毎月いくら返済しているかはなかなか入ってこないでしょう。
一応、「1年以内返済長期借入金」の科目は、ルールでは表示することになっているのですが、意外と表示されていない決算書もあり…。
まぁ、税務署はなにも言わないでしょう。ただ、銀行はお金を貸す側として知りたい情報の1つです。
決算書をチェックしてみて、もし表示がなければ、さっそく会計ソフトで使ってみてはいかがでしょうか。
決算書に情報を埋めておく
決算書も、毎月チェックする会計ソフトの推移表なども、税金の計算のためだけに使うのは避けたいものです。
せっかくなら、決算書や推移表でじぶんが知りたい情報がわかるようにしておきましょう。
たとえば、倒産防止共済の掛金は貸借対照表に表示しています。
それによって、いままでいくら掛けたかがすぐにわかるようにしています。
ただ、税金の計算上は経費になるので、貸借対照表で資産にした倒産防止共済の掛金を法人税の申告書で経費化するということをします。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)明細書を添付していますか? 会計処理はどうしていますか? | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
同様に役員借入金なども、通常の長期借入金とは別で表示しています。いま会社にいくら貸しているかがわかるように。
これは、銀行融資を受けるときに、純資産として見てくれるというのもありますが、相続税の対策でもあります。
会社への貸付金は相続財産になるので、増えすぎていないかどうかのチェックとして。
「役員借入金はいくらある?」をチェックしておくべき理由 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
せっかく決算書をつくるなら、じぶんが使いやすいように工夫していきましょう。
かといってめちゃくちゃ表示していいいというわけではありませんが。
むずかしいということであれば。税理士に相談してみましょう。
【編集後記】
昨日は税理士業をやったあと、カフェで研究開発。ショートセミナーをやってみようかということで、告知ページもつくりました。(すでにアップしています。)
【昨日の1日1新】
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とある依頼