税理士試験の経験というのは、資格取得だけにとどまらず活きています。
独立後に役立っているスキルについてまとめてみました。
税理士が独立するまで
税理士試験は結果がわかるまでがとても長い試験です。
まず、税理士試験を8月に受験する。その試験結果がわかるのは12月です。試験後から発表までのこの4ヶ月はもやもやするのです。(2020年の合格発表は今日、12月18日でした。)
さらに税理士になるには、5科目合格しなければいけません。(大学院などで一部免除になるケースもあります。)
そして、税理士に登録するには2年の実務経験が必要です。
それらをすべてクリアすると、ようやく税理士としての独立ができるわけです。
わたしの場合でいうと、税理士受験は2005年にスタート。そこから3年間専念。1年は仕事しながらで4年。
- 2005年 専念 財務諸表論合格(簿記論・消費税法不合格)
- 2006年 専念 簿記論・消費税法合格(法人税法不合格)
- 2007年 専念 相続税法合格(法人税法不合格)
- 2008年 勤務 法人税法合格
税理士の登録が2010年2月25日。今から10年前です。
そして、独立は2015年6月1日。足かけ5年かかっています。
もっと早く独立はできたのでしょうが、やはり食べていけるかどうか?という不安と戦っていました。
独立した後、この税理士試験の経験というのが色濃く活きています。
税理士試験で身についたスキル
この税理士試験という精神と時の部屋にいたおかげでわたし自身は強くなれたと感じていますし、独立後にも間違いなくいい影響がありました。
税理士という資格、独立という結果以外にも身についたスキルがあったのです。
じぶんをもつ
税理士試験は合格するまでは、ひたすら勉強です。
合格するまでひたすら勉強を続けるというじぶんとの戦い。モチベーションを保ちつつ、誘惑に負けないようにしないといけません。
毎朝電車に乗っても、そのほとんどの人が会社に行くというなか、ひとりだけ専門学校(TAC)です。
そんな感じで、電車に乗っている周りの人とはまったく違う生活ですから、受験当初は不安になることもありました。「ここにいていいの?」と。
また、直前期には学校の廊下でずっと話をしている知り合いを見つけたら、そういうところからも逃げていました。あえて違う階のトイレに行くなどして。
ちょっとやりすぎかもしれませんが、それくらいの気持ちでした。合格するにはじぶんをもつことが大事です。
そして、独立して同じ様にたくさんの人がいる環境から今までにないひとりでの仕事になったわけです。
最初こそ戸惑いはありましたが、適応できました。税理士試験の経験があってひとりの耐性がついたともいえます。
じぶんのペースをつくる
続けるには、じぶんのペースをつくることも欠かせません。
わたしは朝8時30分には勉強をスタートし、夜9時15分まで自習。土曜日と日曜日は17時までで夕食は妻と一緒に外食というのが決まりでした。(月1回の日曜日は休んで少しは気分転換しつつ)
受験を仕事と見立てていましたので、それくらい。
帰って家で勉強するなら計算問題。
受験生活の中で、このじぶんの型をもつといいことに気づきました。
独立した現在もじぶんの型というのはつくっています。
朝4時〜5時30分までに起きて、
- 毎日やることをきめる
- 経理
- やらないことリスト
- やりたいことリスト
- うれしい声
- タイピング
- 1時間弱の運動(ウォーキング)
というところは日々こなしています。
税理士試験があったから、型があると続けられるというのもわかりましたし、ブログも続いています。
復活するチカラ
思い通りにいかないこともあります。
わたしは最初の年に1科目しか合格できなかったという現実を直視できませんでした。
受験は2年で終えると決めていたのに、それが1年目で早くも崩れましたから。妻にも申し訳ないなと。
それは運なのかも知れないし、実力なのかもしれないです。
ただ、運も実力のうちという言葉のとおり、思い通りに行かないのは、けっきょくは実力がなかったということ。
そう認めて、次の日から合格できるように勉強をはじめていました。
受験を踏まえて気づいたのは、受験中の1年はとても長いのですが、あとで考えるとその1年は点のようなものだと感じるということです。
その考えが1年目の復活につながりました。
そして、独立後も何かしら手を打たないといけませんし、ときには凹むこともあります。
そういうときも気持ちをフラットにして、前を向くようにしています。
それには、このブログもいくらか貢献してくれています。落ち込んだ気持ちや怒りにまかせて書くとにじみ出ますから。
工夫
受験勉強には、じぶんなりの工夫というのも必要だったかと。
- どうやったら効率よく勉強できるか?
- 集中するにはどうしたらいいか?
- 条文を暗記するにはどうしたらいいか?
というようなことです。
- 問題を解くときは時間をは図って記録する
- 条文を覚えるのは学校で
- 夜家に帰ってから勉強するなら計算問題(理論を夜にやろうと思えない)
- 赤と黄と青のシールを貼って間違えた問題と正解した問題をひと目でわかるようにする
- 理論を書くのは1回だけ、あとはブツブツとそらんじる
ということをやって、じぶんなりにあったやり方を見つけていました。
独立した現在はひとりということもあり、何かしらの工夫せざるを得ません。
ひとりで仕事ができるように
- やらない仕事を決める
- 数を増やさない
- ITやネットを使う
ということは必要なこととしています。
税理士は食えない資格か?
税理士は食えない資格だと言われることが多いです。
受験数が減っているのも「長い期間を受験するのに割に合わない」と思われることが原因なのかもしれません。
そういう風潮がありますが、わたしは税理士になれてよかったと思っています。税理士に慣れていなかったらわたしは間違いなく独立できていません。
いっぽうで「税理士にこだわらないのもあり」とも思っています。
税理士としてのしごとをしつつ、新しい仕事をやってみるのも手です。税理士+α、とくに禁止されているわけではないですから。
わたしは税理士でもあり、ひとり会社の代表でもあります。会社の方では税理士業以外のことをやっています。それを育てたいなと。
不安を抱えている人もいるのかもしれませんが、少なくとも、わたしはお客様との会話を楽しみつつ、提案して喜んでいただける、発信することで新たな出会いがあるという現在を気に入っています。
ひとりなので拡大はしませんが。
税理士受験をされている方には、こんな例もあるということで参考にしていただければ。
今日の発表はある意味分岐点ですが、あきらめなければ合格する試験。大事なのはブレないじぶんです。
【編集後記】
昨日は法人の決算や年末調整など。夜は私用で外出でした。
【昨日の1日1新】
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