贈与を検討する場合には、相続税の節税ばかりを考えがちですが、贈与をする人にとっては、じぶんの老後の人生とのバランスをとることも大事です。
贈与税について、よく耳にする疑問とともにお話します。
贈与税でよく耳にする話
生前贈与の話の流れで、よく耳にする質問があります。
「贈与できるのって100万円までだっけ?」
「100万円以上だっけ?税金がかかるの?」
「あげた方が払うんだっけ?」
といったようなことです。
相続税の対策としても、取り上げられることの多い生前贈与。
この生前贈与と関連のある贈与税について、よく耳にする疑問点もあり、まずは、こちらについてお話をしていきます。
贈与でよく耳にする疑問点あれこれ
仕事をする中で、よく耳にする疑問点には次のようなものがあります。
いくらまで贈与できるの?
贈与をする金額に限度はありません。ただ、一度の贈与でもらう財産の評価額が大きくなれば、もらった人が支払う贈与税も増えます。
贈与税には、税率が2種類あって、同じ金額でも直系の父母や祖父母などから1月1日時点で20歳以上の子どもや孫に贈与をするというパターンは、それ以外のパターンに比べて贈与税の負担は少なくなります。
こんな感じで。
もし、贈与を検討される場合、早く贈与をしたいということでなければ、毎年110万円の非課税枠を利用して、贈与するというのをおすすめしています。
人生は長く、途中で気持ちの変化もあったりしますので、その意味でも。身動きはとりやすくしておきたいところです。
110万円の非課税枠は財産をあげた人ごと?
110万円の非課税枠は、あげた人ごとではなくもらった人ごとに判断します。
たとえば、父母それぞれから100万円をもらったというのであれば、もらった金額は合計200万円。
となると。もらった財産は年110万円を超えることになり、贈与税の申告が必要になります。
ちなみに。この110万円というのは、一度使ったら終わりではなく年ごとに110万円です。
年が変われば、また110万円の非課税枠はあるということです。
贈与税の申告って何をやるの?
前述したように110万円を超えて財産をもらった場合には、贈与税の確定申告をする必要があります。
所得税の確定申告は誰もが知っているのですが、贈与税の確定申告は意外と知られていません。でもあります。
申告する期間は、贈与をうけた翌年の2月1日から3月15日までなので、所得税とはちょっと違います。
あと、申告は所得税の確定申告と同じように、マイナンバーカードやカードリーダーを使って電子申告をすることもできますし、ID・パスワードを利用して電子申告することもできます。
もし、電子申告をしない場合には紙の申告書を提出することになります。
申告するときは、贈与税を払うことをお忘れなく。
あと、贈与税の特例を使って贈与税がゼロになるという場合でも申告は必要になります。
贈与しておけば相続税の対象にはならないの?
そうとも限りません。
通常(暦年)の贈与であれば、相続開始前3年以内の贈与財産は、相続税の申告に含めて計算することになるからです。
ただし、相続や遺言で財産をもらう人が生前にも財産をもらっていた場合に限ります。
ここで、相続開始前3年以内というのは、2020年6月11日相続開始だとすると、2017年6月11日以後に贈与された財産。
これを相続税の計算に含めるということになります。
逆にいうと、相続開始前3年を超えていれば、相続財産に含めて相続税を計算する必要がありません。
贈与する前に考えておきたいこと
もし、財産を生前贈与したいというのであれば、その前にちょっと考えておきたいことがあります。
それは「相続税を減らしたいからとにかく贈与」というように、税金を最優先にしないということです。
税金を最優先ににすると、正直なところ、ろくなことになりません。
もちろん、「もめない」「払えるか?」の対策はしっかりしておく必要がありますが。じぶんの老後にもお金は必要なはずで、そのお金とのバランスは考えておきたいところです。
特にお金の贈与をしたいということであれば、後で困らない程度にしておくのがいいかと。
長生きすることで、出ていくお金というものもあります。
たとえば、老人ホームに入居しないといけなくなった、病気になって医療費が思っていた以上にかかるようになったとか。現状では見えていない点もあります。
そういうときに手元におかねがないというのでは、本末転倒となります。
あげた方からすると「やっぱり、返して」とも言いにくいですから、これから先の見通しも考えておきたいところです。
- 老後にどういった生活をしたいか?
- 病気になったら誰の助けを借りるか?
- 上記にどのくらいお金が必要になるか?
具体的には。財産リストをつくって、ざっくりどんな財産があるか?を確認してみる。
その上で、誰に何を残したいか?を考えてみる。その手段として、遺言書を書くことや生前贈与などを検討する。
贈与をしたその後のじぶんの人生もありますから。
まとめ
最新の簡易生命表によれば、平均寿命は男性81.25歳、女性で87.32歳ですが、人生100年とも言われているところです。
じぶんの人生ですから、相続で残すばかりではなく、生前のじぶんの取り分というのもかんがえてみてはいかがでしょうか。
【編集後記】
昨日はお客様と打合せ。決算の着地見込みと今後の資金繰りの話などを中心に。
【昨日の1日1新】
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