会社や個人に税務調査があるように、相続税にも税務調査はあります。
税務調査ではどんなことを聞かれるのか?どうして聞かれるのか?をざっくりお話しします。
相続税の税務調査
会社や個人に税務調査があるように、相続税にも税務調査はあります。
税務調査については、映画の影響もあってか、突然やってくるこわーいイメージがあるようです。
ただ、よほどのことでなければ、裁判所の令状を持ってくるような調査ではなく、税務署から事前に連絡があってから調査にやってくることが通常です。
その税務署は税務調査に行く前に念入りに準備しています。
確定申告書などすでに手元にある資料をチェックするだけでなく、銀行に照会をかけたりといろいろ手を打っています。
そうして、「あやしい…」と思われる点を洗い出してから調査にやってきます。
税務調査が始まると、気づくはずです。雑談、世間話から始まり、ときには部屋をキョロキョロと見回していることに。
「財産があるわけじゃないのに何がわかるの??」と思うかもしれませんが、実はこのとき、しっかり亡くなった人の足跡をチェックされています。
相続税の税務調査でチェックされることはどんなこと?
調査に来ると申告もれを指摘されるのは、だいたい8割以上。打率で考えると驚異の高打率ということになります。
だから調査に来るときは、何かしら材料を持っていることも多いです。いわゆる狙いうちです。
税務調査ではどんなことを確認されるのでしょう?ここではその一部をお話しします。
行く先々で「探す」
家に来ると、調査官は何気なく部屋を見回し始めます。
もうこの時点で調査が始まっています。例えば、家の中に価値のありそうなものを見つければ、「これって申告されていたっけ?」という感じでマークするわけです。骨董品やらなんやらと。
「トイレ貸していただけますか?」とトイレに行けば、そこでもすかさずチェックが始まります。例えば、カレンダーやタオルに〇〇証券なんて書いてあれば「株取引あるの?」と。
まぁ、すでに取引が終わっていれば堂々とすればいいわけですが、そういうのも見ていますよということで。
あと、自宅に金庫があれば「開けてもらえます?」と言われます。開けたときに現金がたくさん入っていると…。
参考までに。銀行に貸金庫を借りているというケースもあります。その場合は通帳から手数料が引き落としされていることがほとんどですから、税務署は貸金庫があることはわかっています。
わかってて聞いてくる。「見せてね」と言われたり、銀行に金庫の入退出記録を確認されたりすることもあります。相続があってから調査までの期間は特に。
貸金庫を開けたら金塊(金地金)などが出てきた日には…。
…と他にもいろいろあるのですが。今日はこのくらいにしておきます。
死因
相続に至った原因を聞かれます。
病気で亡くなったとか、理由はいろいろあるでしょう。
病院に入院していて亡くなったということであれば、「病院にまとまったお金は置いてありましたか?」なんて聞かれることがあります。
あるいは、亡くなった人が実は認知症だった、ということがわかれば、それより前に「これは贈与でお金をもらったんです」なんて言ってたら「それはおかしい…」ということになるわけです。
認知症で意思表示ができなかったはずなのに、いったいどうやって贈与してもらったの?と。
そもそも贈与は「あげる」と「もらう」の意思がないと成立しない、ということになっていますので。
ということで、贈与でなければこのお金は相続財産になります。こうして申告の間違いが見つかります。
経歴・住まい
経歴や住まいも確認されます。収入に見合った経歴か。住まいについては、今は名古屋だけど、北海道に勤務していたことがあるというなら、「北海道に何か財産があるのでは?」というように。
趣味
亡くなった人の趣味を聞かれることもあります。例えばゴルフが好きならゴルフ会員権を持ってるんじゃないか。コレクターなら、骨董品があるんじゃないかとか当たりをつけています。
生活費
毎月の生活費がどのくらいだったかも聞いてきます。これは実は通帳の動きを見ておおよそのあたりをつけているはずですが。
収入と生活費、それと相続財産のバランスが取れているかどうかを確認しています。もしバランスが取れていない場合は、通帳にないお金、つまりタンス預金を疑われます。
贈与
贈与があったかどうかを聞かれることもあります。ただそれが本当に贈与なのかどうなのか?
実は贈与じゃなくて名義預金(親族名義の預金)では?というところを疑ってきます。
つまり、贈与なら時効(6年)が成立していることもありえますが、贈与じゃないなら相続財産。贈与の時効は関係なくなります。
親族のお金はなぜ多い?
調査に来る前に親族名義の預金もチェックしています。
孫や専業主婦なのに預金残高が多すぎる場合も「そのお金はどうやって増えたの?」と聞かれることがあります。
このケースでお金が増える原因は、相続か贈与か、じぶんの稼ぎになるので。どれでもないとすると…名義預金で相続財産になる可能性が出てきます。
事前に知っておくだけでも安心するけど…
税務調査ときくと、それだけでコワイ…となってしまうかもしれません。
ただ、事前にどんなことを聞かれるか?どんな目的で見ているか?ということをわかっておくだけでも、ある程度安心ができるものです。
ただ、それでもわからないことも多く。税務署の言うままになってもいけません。事実は認めてもそうでないものまで認める必要はありません。
最新の発表資料によれば、税務調査の結果、もれが見つかった割合は80%以上、財産を隠していたことがわかったケースは16%ほどとされています。(年々増えている)
数字の上ではそうなっていますが、ほんとうにそんなに隠す人がいるのか?というのは少々疑問に思うところです。
もし相続税の申告を税理士にお願いしていれば、立ち合いをしてもらった方がいいでしょう。
相続税の申告を何度もやっている税理士であれば、今回お話ししたような調査で聞かれそうなことは申告するときに事前に確認してくれているはずです。
もちろん、税理士に包みかくさず、正直に伝えていることが前提ではありますが。
ときどき、自分で相続税の申告をしたいと言う強者な方もいますが、税務調査が来るというのであれば、さすがに税理士に立ち会いをお願いした方がいいでしょうね。
ということで、そもそも税務調査がこないようにするために、税務署がチェックしそうなことを、申告するときにあらかじめ確認しておくことが大事になります。
【編集後記】
昨日はじぶんの月次、午後からお客様を訪問し打合せ。Zoomの使い方を説明しつつ、月次や持続化給付金のサポートなどを。
【昨日の1日1新】
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天鼓