手元にお金をもっておくメリットはあります。安心を買うためにお金を借りるという選択肢があります。
マイナスなイメージがある、お金を借りる。ただそれは仕事をするという視点で考えると間違った捉え方です。
でも手元にお金があれば、耐えることができますし、その間に打つ手を考えることができます。不安もいくらか拭えるはずです。
ということで。今回、わたしが日本政策金融公庫で初めてお金を借りるまでの流れを記事にしてみました。
「もしも…」があったときに不安を減らすためには?
現在、コロナウィルスの影響により、日本政策金融公庫を始めとして民間の金融機関でも、税務署でも、次々とコロナ融資の策が打ち出されています。
愛知県では、国の緊急事態宣言が解除されたものの(愛知県独自の緊急事態宣言の解除は2020年5月31日予定)、かといってコロナの影響がパタっとなくなるかといえば、決してそうではないでしょう。
現在も家にいる時間がほとんどですし、仕事再開といっても、すぐにコロナ前にはならないですし、ある程度の回復には時間がかかると思われます。
さらに次の波があるかも知れず、今後はWithコロナで考えていく必要があります。
そんな中でも、仕事を続ける以上は、これまで以上に手元にお金を持っておく必要性が出てきました。
フリーランスのお金の管理術(MoneyFoward ME) 個人・ひとり税理士もひとり会社もまとめて管理 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
今回のコロナウィルスのように「まさか」と思うことが実際に起こることがあるわけです。そのときに手元にお金がないと困ります。
コロナの経験からできたこともある フラットに見ておきたい | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
なので。お金を借りておくというのは、仕事を続ける上での大きな選択肢になります。
そんな中。先日、日本政策金融公庫(以下「公庫」)のコロナ融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)を受けました。
その具体的な内容については、ネットにたくさん記事があるので、そちらを見ていただくとして、ここでは、初めて公庫から融資を受ける場合の手続きの流れについてお話ししていきます。
融資申込みから面談までの流れ
日本政策金融公庫への融資申請は次のような流れでした。
申請をしたのが2020年3月30日(月)、入金があったのが2020年5月18日(月)というもので、けっこう早めに申請していますが、融資実行まで1ヶ月半ほど。
今回の記事の前提としては、「フリーランスが日本政策金融公庫との初めての取引」になります。
過去に公庫と取引したことがあれば、電話で面談をして、融資決定という流れになり、やることはもう少し減ります。
3/30(月) コロナ融資申込書類を作成・郵送
「よし融資を受けよう」
そう決めて日本政策金融公庫HPにアクセス。
こちらから必要書類を確認し、ダウンロードしました。
【国民生活事業】 ご提出書類のチェックリスト(新型コロナウイルス感染症特別貸付)
すでに公庫との取引経験がある場合にも、必ず提出する書類はこういったものです。
- 借入申込書
- 売上減少の申告書
- 最近2期分の確定申告書(一式)のコピー
初めて公庫から融資を受ける場合には、次の書類も追加で必要になります。
- ご商売の概要(お客さまの自己申告書)
- 運転免許証(両面)またはパスポートなど
- 許認可証(あれば)
私が申込みするときにはなかったのですが。現在はインターネットからも申込みができるようになっています。参考までに。
→ 事業資金 お申込受付(新型コロナウイルス感染症特別貸付専用)
借入申込書
まず必要なのは、いくら借りるか?何年で返済するつもりなのかを具体的に伝えることです。
この借入申込書に反映させます。借りる金額も大事ですが、毎月いくらずつならちゃんと返済できるのか?運転資金か設備資金か?元金据置の期間を入れるのかどうか?
この状況でも、毎月のお金の流れ(キャッシュフロー)はよくしておく必要がありますから、ここはしっかり考えておきたいところです。
手書きが苦手なら、PCで作成するのもおすすめです。私はMacのプレビューで申込書を作成しています。
Macの「プレビュー」が便利すぎる件 画像もPDFも らくらく編集できる | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
ただ、自署欄はさすがに手書きするしかないのですが。
借りる際には、相手のことも知っておきたいものです。金融庁のスタンスを事前に見ておくといいかと。
新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例:金融庁
売上の減少申告書
今回のコロナ融資は、売上が前年同月比で5%以上下がっていることが条件です。それをこの書類で伝えます。
毎月、決算をやっているとこういうときにすぐに動くことができます。
最近2期分の確定申告書(一式)のコピー
公庫もこちらの現状を知っておきたいものです。その参考資料として、確定申告書一式を2年分提出します。
この申告書一式(青色申告書も含めて)を直近2年分です。(今回のタイミングであれば、令和元年分と平成30年分です。)
電子申告をしている場合には、税務署の収受印がないので、このメール詳細というのを添付しましょう。
初めて公庫と取引する場合
上記に加えて、
- ご商売の概要(お客さまの自己申告書)
- 運転免許証(両面)またはパスポート
- 許認可証
といった書類が必要になります。
まとめると「初めて取引するんだからあなたのこといろいろ教えてよ」という書類です。
事業の沿革とか略歴とか取引先とか、そもそもどんな顔なのか?とか。
「ブログやHP見ていただければ…」と言いたいところですが、ダメですわね。
これから公庫の担当者の方がこちらに連絡するにも私の顔がわかったほうが話しやすいもの。
相手のことを何も知らないのに、お金を貸すなんてなかなかできませんしね。
…というような書類をレターパックで送りました。
4/7(火) 担当者から連絡
それから1週間ほど。
担当者から連絡がありました。電話で…。
公庫と初めて取引する場合には、必ず面談になります。(すでに借入経験があれば電話で済みます。)
私は公庫との取引は、今回が初めてでしたので、面談があるとのこと。
まぁ、普通はそうなんでしょうが。このコロナの状況で蜜になるけどやるんですか?と聞いてみたのですが、やるんだそうです…。
ということで、4月10日に公庫に行くことに決まりました。
同じ日に追加の必要書類を求めるこういった書類が届きました。
- 預金通帳(最近6ヶ月以上で生活用・事業用)
- 借入金のある場合は、借入年月、金利、毎月の支払額、借入金残高のわかる資料(車のローンなどもあれば)
- 不動産の賃貸借契約書(事務所)
- 資格または免許を有するもの(あれば)
- 運転免許証またはパスポートなど
通帳はコピーで。ネット銀行であれば、通帳はないのでネットから出力したもので大丈夫です。
どちらもメインの通帳だけでいいということでしたが、いずれにしても、個人と事業と両方をチェックするということです。
あと、事務所の賃貸借契約書、わたしは借りていないのでなし。
資格・免許は税理士証のコピーを。
免許証、前にも出したのになぁとは思いつつ、ここは黙って提出です。
それと、担当者と打ち合わせをするにあたって、別で資料を準備することにしました。
記載はないけど別で提出した資料
必要書類に記載はなかったのですが、別で提出した資料があります。
- 現状と今後の対応策を説明する書類(Word)
- 内訳別の売上の月次推移表(Excel)
要件をクリアしていたとしても、借りれるかどうかはまた別の話です。
- どういう仕事をやっているか?(単発が多いのか?顧問が多いのか?いわゆる売上の内訳)
- どうして融資を受ける必要があるのか?想定できるリスクは?
- コロナの環境の中どういうスタンスで仕事をしていくか?(オンラインのみとか)
- いくら融資を受けたいのか?
- どのように返済していくつもりか?(つまり利益計画)
みたいなことをサッとWordにまとめました。
例えばです。同じ売上だとしても、単発の仕事が多いのか?固定収入が多いのか?でも違ってきます。
ただ、そういう情報は、確定申告書の数字を見たところで、わからない部分でしょう。
その辺りを説明しようかと思って作成したところです。
そうは言っても。売上の内訳については、数字で見てもらわないと説得力がいまひとつです。
そこで、クラウド会計から売上のデータをCSVファイルをダウンロードして、前年の売上月別の推移表をExcelで作成。
これじゃあ、何の表なのかさっぱりわかりませんが。ともかく、確定申告書の売上の内訳ってどうなの?というのがわかるようにですね。
法人顧問の売上なのか。相続の売上なのか。確定申告の売上なのか、みたいなところです。
金額が一定額以上のところは条件付き書式でセルとフォントが赤くなるようにしておきました。パッと目に入るようにですね。
まぁ、必要書類ではないのですが、借りる必要があることをより伝わりやすくするため。
とかく伝えるためには、ストーリーはあったほうがいいかなと。
4/10(金) 公庫で担当者と面談
ということで。金曜日、約束の時間15時の30分前に公庫に到着。
この頃はコロナウィルス初期ですからね。車でブログを書きつつ、時間になって恐るおそる入店。
実際、行ってみると時間が決まっているからか公庫の人ばかりで、借入の人はあまりいないよう。
実際は、みんな個室で面談するのでいないだけだったのですが…。
マスク着用で個室で担当者の方と面談。提出した書類の内容を中心に30分もかからずで終了。
「決定したら連絡します。」とのこと。
繰り返しますが、これまでに政策金融公庫での取引がない場合は、初回は面談になります。
4/15(月) 担当者から融資決定の連絡
休み明けて月曜日。
15時頃にお客様とZoomで打合せ中に着信があったようで。終了後に折り返し。
融資が決まったとのことでした。
つくった資料で「どうして…」のところがよくわかりました、とは担当者の談。つくっておいてよかった、よかった。
休み明けすぐの回答だったので、びっくりしましたが、今回のコロナでかなり銀行員の方が大変だというのにも納得がいきました。早い対応に感謝です。
後日、東京の公庫から数日で資料が届くとのこと。
契約から入金までの流れ
4/18(木) 公庫から契約書などの書類が到着
東京の公庫から資料が到着。
封筒に入っていたのは、借用証書(契約書)や団信(任意)の関係書類です。契約書の書き方もわかりやすくマニュアルがついていますので、そう心配しなくてもいいでしょう。
公庫は預金口座がないので、入金口座はどこかしら指定します。
ただ、ネット専業銀行はダメです。ゆうちょ銀行は大丈夫のようです。
あと、団信というのは、団体信用生命保険といって、毎年、特約料を払って、もし亡くなったり高度障害になったら、保険金で借入金を弁済してくれるといういわゆる保険料みたいなものです。
申込みは任意となっていますが、「もしも」を想定するとこれは入っておきたいところです。(ためしに妻に聞いてみたら「入っておいて!」と。そりゃそうだ。)
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こちらのサイトから特約料がいくらくらいになるかシミュレーションすることができます。目安です。
特約料お支払額シミュレーション|事業資金融資団信保険|団信保険について|公益財団法人 公庫団信サービス協会 団信保険
なお、団信の特約料は個人の場合、経費にはなりません。「事業主貸」で処理します。
会社の場合、団信の特約料は経費になります。
4/19(金) 必要書類を返送
翌日に返送。
- 借用証書
- 印鑑証明書(融資日から3ヶ月以内発行のもの)
- 送金口座の預金通帳または当座照合表(通帳の表紙および見開き1ページ目 既に契約あれば不要)
- 口座振替利用届(事前に銀行で口座確認印をもらう)
- 団体信用生命保険申込書兼告知書(保険加入は任意)
- 条件欄に記載された書類(あれば)
などを郵送します。チェックリストがあるので安心です。この辺りの準備は素晴らしいなと。
で、あとは入金を待つだけに。
5/18(月) 入金あり
お金の送金は、資料受領後3営業日後という記載があるのですが、実際に入金されたのが2020年5月18日(月)。
申請時には、融資希望日は2020年5月1日にしていたので、実際には2週間ほど遅れての入金でした。
この遅れには特段問題はありません。もっと優先するべき人がいたということでしょう。
とにかく、これで準備は整いました。あとはしっかり毎月返済していきます。
そのためにもやっぱ利益だな。
まとめ
日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」でお金を借りるまでの流れをお伝えしました。
手元にお金があれば、耐えることができますし、その間に打つ手を考えることができます。不安もいくらか拭えるでしょう。
もし、手元のお金に不安がある、でも借入れする気が進まないというのであれば、返済をどうするかもあるのですが、ひとまず今できることをやりましょう。
コロナがおさまったとしても、次があるかもしれませんし、今回考えて動いたことは無駄にはなりません。
今から公庫で融資を受けようとすると、時間はさらにかかると予想されますが、現在は私が申込みしたときよりもいろんな選択肢が出ています。
例えば、民間の銀行でもこういったものがあり、融資のスピードを求めるならこちらも検討してみてもいいかと。
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【編集後記】
昨日は法人のお客さまの資料作成など2つ。その後はセミナー用のExcelを修正したりでした。夕方に散歩も。
【昨日の1日1新】
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とあるサービス移転