利益があるのにお金がないというのはよくいわれるところです。
これから一定の制約がかかった中で、お金を増やし、貯めるためにもまずは、お金が増えない理由を知っておくのもおすすめです。
利益がでているのにお金がない?
新型コロナウィルスの影響もあって、多くの資金繰りのための救済策が出されているところです。
なんといっても、手元にお金がないと不安になりますし、新たな手を打てなくなります。
お金がないと仕事をつづけていくことができなくなりますから、給付金をもらったり、お金を借りることができるのはひとつの支えになるといえます。
とはいえ、こうした救済策は一時的なもので、その先では、やっぱり利益を出していく必要があるわけです。
お金を借りて、お金が増えたとしても、その借りたお金はいずれ返していく必要があります。
その返済の原資になるものが利益です。
であれば、利益を出してお金を増やしお金を貯める、あるいは必要以上に減らさないようにする必要があり、そのためには、利益とともにお金の動きをチェックしておくことが大事になります。
一方で、こんな話を耳にすることがあります。
「利益が出ているのにお金がない…」
もうかったらおかねは増えるはず、ただ、残らないことも事実としてあるわけです。
その理由はお金と利益のズレにあります。
利益とお金がズレる理由
利益が出ているのにお金がない、こうしたことが起きる理由には次のようなものがあります。
そのズレは「売上ー経費=利益」に影響ないところ、主には貸借対照表に表示されているものによるものです。
売上代金を回収できていない
売上があっても、現金売上でなく、いわゆる「ツケ」。
すぐにお金をもらえるわけではなく、翌月末に入金ということが通常です。
たとえば、4月に取引した売上の代金を5月末までにもらう、というように。
この点で、売上の計上とお金の入金のタイミングには、ズレがあります。
さらに、期日までにお金をもらえるとは限りません。そのままになって今に至っているというケースもあるかもしれません。
もし、そうであれば、本来は入金してもらってお金にかわっているところ、未入金なので、結果として手元のお金は増えていません。
売掛金からお金に変わるはずなのですが、入金がないのでいつまでも変わりません。
では、利益は?というと、仮に未入金だとしても、取引が終わり、売上はすでに計上済です。
売上は増えているので、結果として利益は増えており、未入金の金額が増えると、さらに利益とお金のズレが生じてしまうことになります。
そんな未回収のお金への対策としては、
- 仕事をする前にお金をもらう(前受金)
- 請求書に期日をはっきり表記
- 未入金なら翌日に得意先に確認する
というところです。
「未入金で何も言ってこないならいっか」と思われても困りますし、伝えにくいことこそ、早めにです。
在庫を必要以上に増やす
モノを売っている場合を考えてみると、仕入れて売るという流れになるでしょう。
商品を仕入れて在庫を持ち、販売してお金を回収する、この繰り返しです。
お金をモノに変えて、モノをお金に変える…というように。
売上代金については前述したとおりです。
ここでは、仕入れて側を考えてみます。
商品を仕入れる場合に特に注意したいのは、どれだけ在庫をもつか?ということです。
というのも、売れるまでは、在庫のまま残ることになるからです。在庫が多すぎてもお金は減ります。
よくあるのは、まとめ買いしてくれれば少し安くするよというもの。
一見、単価が下がるのでよさそうですが、ただ、まとめて買うわけですから、それだけまとまったお金が出ていきます。
一方で、その在庫がお金に変わるのは、売れたその後です。
まとめ買いしたものの、在庫で残ったモノは、いつまでもたってもお金に変わりません。
でも仕入れ代金は払っているからお金は減少。
売れていないから経費(原価)にはならない。
こうして、利益とお金の差がでます。
その後に、在庫の価値が下がってしまい、値下げして売らないといけないということになれば、いったい何のためのまとめ買いだったのか…ということにもなります。
ということで、ここでいいたいのは、必要以上に在庫を抱えると、資金繰りはむずかしくなるということです。
固定資産を買う
固定資産を買うというのも、お金と利益に差がでる原因です。(ここでいう固定資産は30万円以上するモノをいいます。)
じつは、固定資産というのは、買ったときにお金は払っていても、そのときに全額経費にはできません。
経費になるのは減価償却という手法で、定められた期間(耐用年数)の間で少しずつになります。
これを説明すると話がややこしくなるので、ここでは詳細説明しません。気になる方はこちらの記事を。
「減価償却と借入金っていったい何の関係があるの?」をざっくり説明してみた | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
減価償却費をちゃんと計上しないとどうなるのか 知っておきたい減価償却費の効果 | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
たとえば、300万円の車なら5年とか6年という期間で経費になります。耐用年数6年の場合、毎年の減価償却費は、ざっと50万円ほどになります。
でもお金は全額払っています。(分割もありえますが)
ということで、固定資産を買うと、お金と利益のズレが出ます。
この点で、節税のために必要でもない車を買うという判断は、ただただお金を減らす結果となります。
借入金を返済する
コロナのような緊急時の必要なお金として、あるいは車を買うためのお金として、借入れするというのであれば、それもよし。手元にお金がないというのはやっぱり不安です。
ただ、利息とともに元本を返済しないといけません。
ここで、利息と借入金それぞれについて考えてみると。借入利息は経費になり、お金も出ている。
ゆえに利益とお金は一致するところです。
そのいっぽうで、借入金の元本の返済部分というのは、利益になんの影響も与えていません。
借りたときに売上にしていないですから、返すときにも経費にはならないというのがその理由です。
でも、通帳をみればお金は出ているわけです。
だから、このズレもちゃんと把握しておく必要があります。
経費にならないから、利益で返済しないといけないわけで。お金を借りるなら、どうやって返すかというのは、常に考える必要があります。
利益を出すために通る道
最後に、利益そのものの話を。
利益とお金にはタイミングのズレがあるものの、利益が増えて、何も買わなければお金は増えるはずです。
ただし、この利益は税金を精算したあとの利益です。
税金を払いたくないから、経費をつかうということをやっていると、たしかに税金は減るのですが、一方で経費を使った分だけお金が減ってしまいます。
わざわざ必要でない経費500を使ったことで、お金(利益)がなくなったという例。なにもしないで、そのまま税金を払っていたら150のお金が減っただけで済み、350の利益(お金)が残りました。
結局、経費を使わなかったほうがよかったという結果になります。同じ意味で節税をするにもお金をつかう節税がありますから、税金とお金の動きはセットで考える必要があります。(もっとも、お金のかからない節税は必ずやるべき節税です。)
お金と利益のズレ以外にも、必要以上に経費を使わないというのもお金を増やす、貯めるポイントになります。
これからお金を増やし、貯めるためにも、まずは、利益以外にお金に影響をあたえるものにはどんなものがあるのか?お金がどう動くのかを知っておきましょう。
【編集後記】
昨日は法人の月次処理や資料作成などを。最近、長男(5)がiPadを使って絵を書くことが増えました。終わってiPadを返してくれるのはいいのですが、だいたいApple Pencilなしで戻ってきます。それを探すのですが、昨日は長女(11)の部屋に転がっていました…。
【昨日の1日1新】
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