「税理士業務実態調査」というのを受けました。税理士業務をちゃんとやっているかどうか?の調査です。 結果はまったく問題なしでした。ひとり税理士という視点からその内容をまとめてみました。
税理士に来る「税理士業務実態調査」って何?
会社や個人にくる税務調査というのは、多くの方が知るところでしょう。 税務調査は、申告内容が正しいかどうかをチェックするための調査です。
税理士本人にも、同じように税務調査が入ることはあるのですが、さらにそれとは別に「税理士業務実態調査」というのがあります。
実態調査は、「キミはちゃんと税理士業務をやっているのかね?」というのをチェックするための調査。 なので、調査する部署も通常の税務調査とは違うのです。
税務調査 | 税理士業務実態調査 | |
調査担当 | 税務署の担当部門 | 税務署の総務課 |
調査対象 | 申告・帳簿 | 税理士業務 |
どの税理士のところに調査に行くかは、いろんな視点から任意でピックアップされます。 とは言え、税務署内でも毎年、調査する件数は決まっているので、どこかの事務所には必ず税務署がやって来ることになります。 で、今回、運よく?選ばれました。
違反したことをやっているつもりはサラサラないのですが、「調査」という言葉を聞くと、「何しに来るんだろ??」と気になるのが心情ってものでないでしょうか。
「税理士業務実態調査」で何を聞かれる?
今回の調査は、税務調査ではないので、会計帳簿をチェックするというものではありません。
ただ、業務内容を把握したいために確定申告書の情報は事前にチェックしています。
次のようなことは聞かれると思っておいていいでしょう。
- 利用する税務ソフト
- 利用する会計ソフト
- お客様との年間の接触回数
- 従業員の有無
- だいたいの顧問報酬・決算報酬
- データ・資料の保管場所
- 収入の大まかな内容(金額ではない)
- 電子申告の割合
- 申告書控えや預かり書類の保管状況
- 関係法人について
- 契約書の有無
- 売上代金のもらいかた
- 看板の有無
- 名刺(事務所所在地を見て2ヶ所事務所の確認)
- 事務所に来客があるか?
- お客様との接触記録(業務処理簿)のチェック
- 税理士会研修・支部集会への出席
- 税務調査の立ち会い実績
ひとり税理士の場合、通常と大きく違う点は、人を雇っていないので、スタッフがいる場合の質問が省略されるという点です。
- 規定の有無(秘密保持規定や就業規則などスタッフとの意思統一のための各種規定)
- 申告書を税理士がチェックしているか?(スタッフに申告まで丸投げしていないか?)
税務署の担当者がマニュアルに沿って質問するので、それに回答をしていくという、いわゆる聞き取り調査です。
余談をはさみながら進めていきますので、緊張感がある感じではありません。
今回の調査の時間はだいたい2時間程度ってところでした。
調査で特に厳しく見ているのは、名義貸しと粉飾。
例えば、ひとり税理士なのに、提出した関与先名簿に法人50件、となれば、「そんなにこなせるの?誰がやるの??」という見方をするようです。 質問について一例を挙げて見ました。
事務所の雰囲気を見る
事務所の雰囲気はチェックします。 仕事をする環境になっているかどうか?
PCがあって、本棚があって、ディスプレイもプリンターもあるので、一応、事務所には見えるかと。 怪しいと思われた場合には、見取り図を書いていくそうです。 うちは大丈夫でした。
書類はどうしている?
たくさんの事務所を見ていますので、「他の事務所にあったのにないなぁ」というものはチェック対象になります。
私が聞かれたのは、書類保管。 「チェックした書類、預かった書類はどうしているか?」を聞かれましたが、紙では保管していません。
チェックした資料などはすべてデータで保管していますし、資料が紙ならスキャンしてデータで保管しています。
データは検索できたり、ファイルの結合を簡単にできるのがメリットなので。
Macの「プレビュー」が便利すぎる件 画像もPDFも らくらく編集できる | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
じぶんの経理の領収書や請求書はファイリングしています。 チェックは紙を使わずにiPadProでチェックしています。
iPad Pro(2018年版)にあってMacやiPhoneXSにない使いやすさ | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
電子申告の実績は?
というか、電子申告できるものはすべて電子申告しています。
相続税の申告は現状は電子申告ができず、紙提出ですが、2019年10月からようやく電子申告になるようなので、ひと安心です。
紙で提出している場合には、電子申告の利用をお願いしているようです。
税務調査の立ち会い実績は?
最近の税務調査の立ち会い実績を聞かれます。
これは、あとで、業務処理簿のどこに載っているかをチェックするための布石です。載せてないと叱られるのでしょう。
税務署で事前に調べて、調査立ち会い実績や修正申告したかなんてわかっているはずなので。
「税理士業務実態調査」を受けるなら準備しておきたい3つのもの
実態調査では、次のようなものは必ず準備しておきましょう。
「他の税理士の方から相談されたら、伝えといてください」とのことでしたので、相談される前にここに3つほど挙げておきます。
結局、税務署から調査の電話があったら、税理士がどう動くかはわかっているということです。
- 業務処理簿
- 税理士証票
- 電子申告のカード
①業務処理簿
業務処理簿はお客様に関係する業務を記録した帳簿です。データで管理することも認められていて、私はExcelでつくっています。
- 誰の税務相談に対応したか?
- 誰の申告書を提出したか?
- 誰の税務調査に対応したか?
税務ソフト会社の業務処理簿ソフトもありますが、申告書の提出しか記録していないと、税務調査や税務相談の記録はモレますから注意が必要でしょうね。
もし、業務処理簿を作成していない場合には、つくっておきましょう。 データで管理してもいいことになっていますが、今回の調査にあたって紙で出しておきました。
スケジュールはGoogleカレンダーとiPhoneのmocaというアプリを使って管理しています。
予定が決まったらiPhoneXSですぐに入力し、Googleカレンダーに同期させるといった感じで。
②税理士証票
税務調査のときに税務署に提示する例の証票です。 必ずチェックされるので、準備しておきましょう。
③税理士用電子証明書
税理士が電子申告をするときに準備するカードです。 このカードが手元にないと、場合によっては、他人に預けて電子申告をしているのでは?という疑いを持たれてしまうかも。
まぁ、ひとり税理士ならいつもの場所においておけば問題ないかと。
まとめ
ということで、2時間(長い…)の調査の結果、全く問題ないとのお墨付きをいただきました。
「調査」というと、できれば受けたくないものですが、「ひとり税理士の仕事のやり方が他人(税務署)の目から見たどう映るのか?」というのを知る意味ではいい経験になりました。(もう来なくて大丈夫ですが。)
ひとり税理士をはじめとする税理士の方には、経験談の1つとして参考にしていただければ。
【編集後記】
昨日はお客様訪問。当初よりも業績がよくなりそうで、着地見込みを再度検討しました。このブログを描き始めたのが、2016年5月24日。今日から4年目に突入しています。いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
【昨日の1日1新】 ※「1日1新」→詳細はコチラ
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