「贈与税は本当に高いのか？」を2つの視点から考えてみた

贈与税といえば、やはり高いというイメージがあるようです。

本当に高いものかどうか？比較しつつまとめてみました。

財産をもらうと税金がかかる

最初に税金のことについて、触れておきます。

例えば、ものを売ると税金がかかります。

個人が商品を売れば、売った人は所得税や住民税を払うことになりますし、不動産を売っても同様に所得税や住民税を払います。

では、売るのではなく、タダでもらったときはどうなるのでしょうか？

この場合は、もらったのが亡くなった後なら相続税の対象となり、亡くなる前に財産をもらっていたら、贈与税がかかります。

通常、年間110万円までは贈与税はかかりませんが、110万円を超えると、贈与税がかかります。

では、贈与税は本当に高いのかどうかを次で確認してみることにします。

贈与税は本当に高いのか？

贈与税、パッと見たところでは高い、相当に高い印象。

具体的には、200万円お金をもらうと、払う贈与税は9万円。

500万円もらうと、50万円近くの贈与税を払うことになります。

なので、500万円もらったとしても、実質的に残るのは、そこから贈与税として払う50万円を差し引いた450万円、ということに。

高いと思ってもある意味仕方ないでしょう。

他人と比べてみた贈与税

少し違う角度から「贈与税が高いかどうか？」を見てみます。

高いというのは、何と比べて高いのか？

ということで、まずは他人からもらった場合の贈与税と比較してみることに。

自分と他人と比べない方がいい、という声もあるかとは思いますが、ここではあえて税率について比較してみます。

贈与税の税率は2段階になっています。

1つは

直系の尊属（父母や祖父母）から20歳以上の子・孫が贈与を受けた場合の税率

もう1つはそれ以外の贈与を受けた場合の税率です。

それぞれの贈与額と税負担を見ると、直系の父母や祖父母からもらう場合に比べて、他人からもらった場合の方が、贈与税の負担は大きくなります。

最初の方こそ、同じ税額ですが、もらう額が増えるほど、両者の払う贈与税の差は広がっていきます。

となると、他人からもらった場合に比べると、必ずしも高いとは言えない面もあります。

相続税と比べてみた贈与税

今度は相続税と比べてみます。

その前にまず確認しておくと、

亡くなってから財産をもらう場合には、相続税。
亡くなる前に財産もらう場合には贈与税

を払うということでした。

贈与と相続は、財産をもらうという点では共通しています。

ここで比較したいのが、相続税の実質税率と贈与税の実質税率です。

例えば、相続税の実質税率が20％だとすると、それよりも贈与税の実質税率が低いと
税金負担の面では有利、ということにはなります。

ということで、贈与税の実質税率を確認してみると、

例えば、500万円の財産をもらった場合で、だいたい10%

もし、相続税の実質税率が20％なら、例えば、それより低い10％で贈与してもらうことで贈与税の課税（10％）のみで終わることになります。

 

ただし、相続税には「生前贈与加算」というルールがあり、「相続開始前3年以内にあげた財産があれば、相続税の計算には含めてね」ということになっています。

3年以内の財産なら、相続税がかかるのと同じことになるのですが、3年より前にもらった財産なら、相続税の対象にはならず贈与税を払って終わりになるということです。

 

ということで、相続税と比べると、贈与税は高くない場合もあるということにもなり得ますが、亡くなったすべての人に相続税がかかるわけでもなく、100人いたら8人程度ですから、相続税がかからない人なら、結果は逆になります。

贈与税の税負担についてまとめてみました。

贈与をする意味というのは、第一に節税ではなく、それ以前に大事なのは、本当に贈与したいかどうか？

そして、贈与税は高いというイメージがありますが、違った角度からみるとまた印象が違ったりするもの。

贈与も考え方によっては活用できるものです。

---

【編集後記】
昨日は1人。じぶんの経理をして、午後から外出。カフェに。1日中家にいるのは苦手で、気分転換に外に出たくなります。夕方に友人の家に泊まりに行っていた家族と合流して、実家でゆっくりと。

【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
三洋堂書店 香久山店（リニューアル移転後）

---

相続税申告・ひとりしごとをサポートします　植村豪税理士事務所

相続や贈与のことでお悩みの方、「決算書の数字が読めない」、「資金繰りを改善したい」、「クラウド会計を使ってみたい」というひとり社長やフリーランスの方のサポートに力を入れています。