「贈与税のことってあまりよくわかっていないんだよねぇ」という方のために、よくある疑問についてまとめてみました。
亡くなる前に財産を移転したらどうなる??
相続税。
ざっくりいうと、亡くなった人が財産をたくさんもっていた場合、相続で財産が相続人に移ります。
そのときにかかる税金が相続税。
かかる人は8人に1人といわれています。
じゃあ、亡くなる前に財産を移転させちゃえば、相続税はかからないでしょ?ということで、生前に移転させようとする人もあるわけです。
亡くなる前の財産移転なら、確かに相続税はかかりません。
ただ、亡くなる前に財産をあげた場合、財産をもらった人は、別の税金を払うことになります。
このとき払うのが贈与税です。
相続税と贈与税の関係をまとめると、
- 亡くなった後に財産移転→相続税
- 亡くなる前に財産移転→贈与税
ということで、相続税と贈与税はセットみたいなイメージです。
相続税はメディアに注目されていることもあり、知られてきたと思うのですが、贈与税については、それほどではないように感じ、今回まとめておこうと思った次第です。
贈与税の疑問あるある7選
私がこれまでに耳にしたことのある贈与税の疑問について、まとめてみました。
基本からちょっと難しいものまで、よくあるもの7つです。
①いくら贈与すると贈与税はかかるの?
贈与税の申告をするにあたり、年間110万円の基礎控除額があり、これを超えると贈与税の申告をして、贈与税を払うことが必要です。
これが暦年課税贈与といわれるもの。
ここでは、詳細を説明しませんが、この暦年課税贈与の他に相続時精算課税贈与というのもあります。利用するには、届出書の提出が必要です。
何も届出をしないとあれば、基本は上記の110万円を超えたら…ということになります。
②110万円の基礎控除額はもらった人ごと?あげた人ごと?
贈与税の基礎控除額はあげた人1人につき、110万円ではなく、もらった人1人につき、110万円です。
父と母から100万円ずつ長男がもらった場合だと、
もらった長男に110万円の基礎控除額を使えますので。
(100万円×2−110万円)×10%=9万円
で、もらったお金が合計で年間110万円を超えるので、贈与税の申告は必要、払う贈与税は9万円となります。
③贈与税の申告をすれば、贈与したことになるの?
贈与税の申告をしたからといって、それだけで贈与があったことにはなりません。
よく聞くのが111万円を子ども名義の口座に振り込んで、1,000円の贈与税を税務署に支払うというもの。
ただ、これだけで贈与があったことにするのは間違いです。
申告すれば贈与というものではなく、「贈与」が本当にあったかどうかがポイントです。
具体的には、「あげる」と「もらう」の意思があったかどうか?
とはいえ、税務署からすると贈与があったことの判定基準の1つにはなりますので、110万円を超える財産をもらったら、贈与税の申告と贈与税の支払いはやっておきましょう。
④預金の名義を変えれば贈与したことになるの?
預金の名義を孫に変えたからといっても、それだけで贈与ということではなく。
やはり本当に贈与があったかどうかがポイント。
名義だけ変えたところで、名義預金とされては元も子もありませんので。
⑤贈与税の調査ってあるの?
贈与税の税務調査というのは、基本ありません。
家を買ったときに「そのお金どこから?」というお尋ね文書が送付されるくらいで。
本当に贈与のことを調べるのは、相続税の申告をした場合の税務調査のときです。
そのときは、お金の動きがあったときに、それが贈与によるものかどうか?を税務署にチェックされます。
前者で申告していない場合は、贈与税の期限後申告が必要な場合がありますし、後者の場合には、名義預金で相続財産ということになり、「相続税の修正申告してね。」と税務署から言われます。
⑥お金をあげたら必ず贈与税かかるの?
そうとも限りません。110万円超えなければ申告も贈与税の支払いも不要です。
それに、お金をあげると言っても、学費や仕送りで子どもに送金する場合、贈与税は非課税ということになっています。
ただし、そのもらったお金を学費に使わずにせっせと貯金にまわしていたら、そのお金は贈与税の計算対象になります。
生活費や教育費にはそもそも贈与税の非課税規定がある ご存じですか? | GO for IT 〜 税理士 植村 豪 Official Blog
なので、学費なら、あげる人が直接、学校などに振込みするのがおすすめです。
あとは、住宅取得のための資金をもらった場合に、贈与税の申告をすることで限度額まで非課税になるというものもあります。
⑦お金を振込みした都度、税務署にチェックされている?
見てません。(日本中の預金口座を日々チェックしきれないはず)
親族の口座間でお金の移動があったからと言っても、それだけで「あっ!これ贈与だよね?」というのはわからないでしょう。
もしかしたら、お金の貸し借りかもしれませんし、お金が動いたからといっても目的まではわからないわけです。
ただ、これも相続税申告した後の税務調査ということなら、調査前に親族の口座まで見てくると想定されますので、ご注意を。
お金に色はつかないけど、つけておく
「贈与があったかどうか?」
贈与があった年に問題になることはそれほどなく、陽の目を見るのは相続税の申告をしたさらに後の税務調査のときでしょう。
となると、それは贈与があってから何年も経ってから…というのが通常です。
贈与税の時効は通常6年。
となれば、そのときすでに時効になっている可能性もありますが、名義預金となれば相続財産で、相続税はかかります。
そんなこともあってなのか、名義預金は指摘される財産のトップです。
そのときに通帳にも何も書いてない、贈与契約書もない、となると、税務署からいろいろと言われる可能性もあります。
「これ、なんだっけ?」とならないように、贈与があったら、「あげる人」「もらう人」と贈与契約書をつくって、贈与するお金を振込みましょう。
相続税の調査ということであれば、財産をあげた人はもういないはず。
だからこそ、あとで見てもわかるようにしっかり色をつけておくべきです。
通帳にどんな内容の出金か?入金か?を記載しておきましょう。
「もらう人がそのお金を自由に使える」というのも贈与があったということの1つの事実にはなるので、新しく口座をつくるより、今まで使っていた口座に振込みした方がいいでしょうね。
お金に色はつかないというものの、贈与についてはあえて色をつけておいた方が何かと都合がよかったりします。
「これは贈与したお金」
「これは借りたお金を返した」
といったことが見てすぐにわかるように。
【編集後記】
昨日は1日オフ。昨日は1人だったため、読書をしたり、ゆったりと過ごしました。ひのきのアレルギーでくしゃみが多発中。毎年この時期になると出るんですよね…早々に対処しようかと。
【昨日の1日1新】
※「1日1新」→詳細はコチラ
長男とパズル
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