現金だからバレないと言うわけではありません。
むしろ、現金でもバレるというケースもありますし、現金での贈与はおすすめしません。
現金を手渡しすれば贈与税はかからない?
現金、手渡し、贈与税 というキーワード。
これら3つのキーワードから推測できるのは、
「現金で贈与すれば、贈与税はかからない?」
あるいは
「現金で贈与すれば、バレない?」
といったところでしょうか。
実際こういったキーワードで当ブログにもお越しいただいているようです。
「現金で贈与すれば、贈与税はかからない?」
まず「現金で贈与すれば、贈与税はかからない?」について。
結論から先に言うと、現金を手渡ししても、預金口座から振込みをしても、年間110万円を超える場合には贈与税の対象になります。
お金を渡す方法が違うだけでもらっている金額は同じだからです。
「現金で贈与すれば、バレない?」
そして、もう1つ。「現金で贈与すれば、バレない?」について
現金で手渡せば、本当に税務署にバレないのでしょうか?
これはそうとも限りません。もし「現金で贈与すればバレないでしょ?」と思っているのであれば、この考えは甘いと言わざるを得ません。
ただ、お金をもらっていたとしても、前述のとおり年間110万円以下なら、そもそも贈与税はかかりません。
あとは、生活や教育のためにもらっているお金でそれをちゃんと使っている(消費)、金額も常識の範囲内のものであれば、贈与税はかからないことになっています。
生活費や教育費にはそもそも贈与税の非課税規定がある ご存じですか? | GO for IT
現金での贈与がバレるパターン
現金で贈与をした場合でも、バレるパターンはあります。
いくつか考えてみました。
預金から引き出している
現金で贈与するとして、そのお金を口座から引き出している場合、あげる人の通帳にはキッチリと記帳されます。
その金額が大きければ、税務署の目につきます。「むむ?これは?」と。
大きな額の出金があれば、税務署はチェックしています。(銀行に照会をかけて)
だからこそ、わたしが相続税の申告をする場合も、税務署に指摘されないように事前にチェックをしています。
何回かに分けて引き出す
大きい金額だとバレるなら、もう少し小さな金額に分けて出せば…と思うかもしれません。
一見名案に感じるのですが、これもバレる可能性があります。
何回かに分けて引き出し、1回当たりの出金額を小さくしたところで、ある期間で見た場合、トータルでは残高は減っています。
それが他の財産に変わっていないとすれば、「どこに行ったの?」となるはず。
さらに、通帳から必ず引き出す金額に「生活費」があります。
通常、収入は振込みによることがほとんどで、現金での入金というのはそれほどありません。
生活費というのは、毎月似たような金額になる傾向があります。
事実、私が見てきたケースでは、習慣的に同じような金額を出金していたりすることが多いです。
それを大きく超える出金があれば、やはり同じように目に止まることでしょう。
自宅のタンスや金庫にしまってあったお金
上記に比べると、バレる可能性は下がるでしょう。
ただ、そのお金をもらった人がじぶんの口座に入金していると、急に残高が増えるわけですから、やっぱり目につきます。
それに、金融機関では、預金口座の取引履歴を10年間、保管することになっているので、贈与した人がその期間内に通帳から現金を引き出していれば、出金の履歴がわかり、やっぱりバレる可能性はあります。
さらに、毎年の確定申告や源泉徴収票のデータから、「こんなに収入があるのに、預金が少なくない?」とか、「過去に相続をして財産があるはずなのに、何だかずいぶん減っているなぁ?」と疑われることもない話ではありません。
贈与がバレるよりも困ること
その贈与が問題になるのは、いつなのか?
贈与があったかどうかが問題になるのは、相続税の税務調査のときです。
そして、その相続税の調査でよく問題になるのは、「本当に贈与があったのか?」ということ。
現金を相続人(もらった人)名義の口座に預け入れていた場合で、使っている気配がない場合、名義預金じゃないか?と疑われることがあります。
実質的には、亡くなった人のお金じゃないか?ということです。
これ、調査では揉めます。
調査実績では、調査があると、8割が何か間違いを指摘されているという結果がでています。
でも、そんなにも間違いがあるんだろうか…と疑問は残りますがそれは置いておき。
その3〜4割が現金や預金のモレで一番多いものとされています。
そうなると、現金での贈与というのは具合が悪い。
なんせ、贈与だと主張しようにも証拠が残らないのですから。
言った言わない、みたいな話になります。
ここで、もし名義預金ということになれば、相続財産となり、積み上げ計算である相続税の負担が増えるということもありえます。(名義預金なら贈与じゃないので時効はない)
一方で、贈与があったという結果になれば、贈与税の申告をしていなかったということになり、年間110万円を超えていれば、贈与税の申告(通常は最大6年分、隠していたら7年)をして、払うべき贈与税を罰金を含めて支払うことになります。
いくら贈与しているかでそれぞれの負担は変わります。
まず、贈与でないことを税務署に証明してもらうところからですが、疑われるのは、心理的にも気持ちのいいものではありません。
であれば、そういうことがないように、きちんとした手続きを踏んで堂々と贈与をしておくべきでしょう。
- 贈与契約書をつくっておき、自書押印する
- 現金でなく、振込みで贈与をする
- 必要なら贈与税の申告をして税金も払っておく
と言ったことをやっておけば、贈与がなかったとはならないはずです。
目先の「バレない」よりも、突然くる、「まさか」に備えておく方が気持ちの面でも、税金面でもいい結果になるかと。
【編集後記】
昨日は法人の決算や月次などを中心に。弥生会計に突然ログインできなくなるアクシデントに見舞われました。メールしたところWindows updateなどがあると、起きることがあるらしい…です。
【昨日の1日1新】
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