退職すると健康保険や年金の手続きが必要になります。
特に健康保険については、早めの判断が必要です。
健康保険と年金の手続き
『会社退職してフリーランスでやっていこうと思うんだけど、何をしたらいいんだろ??』
新たにフリーランスとして仕事を始めるために、税務署に出す書類もあります。
ただ、これとは別に大事な手続きとして健康保険や厚生年金の切り替えがあります。
副業でなければ、これまで勤務していた会社については退職することが前提。
会社がやってくれる手続きは、退職の手続きまで。
それ以降は自分でやる必要があります。
国民皆保険、国民皆年金といった言葉があるように、必ずどこかの保険や年金に加入する必要があります。
フリーランスであれば、通常は国民健康保険に。
そして、年金については、これまでの厚生年金から国民年金への変更手続きをする必要があります。
フリーランスなら、
- 健康保険制度→国民健康保険
- 年金制度→国民年金
会社をつくるなら、
- 健康保険制度→健康保険
- 年金制度→厚生年金
となるのが一般的な流れです。
健康保険には任意継続制度がある
今回は健康保険のことについて触れておきましょう。
年金は別の記事で取り上げます。
会社を退職したあなたはどちらかを選ぶことになります。
- これまでの健康保険を選択する
- 国民健康保険に新たに加入する
はい、というコトで。このどちらかを選んで加入することになります。
でも、会社に所属していないのに、「どうして社会保険に加入できる??」のでしょうか?
社会保険の任意継続
実は健康保険には退職前の健康保険を継続できる「任意継続」というものがあります。
ただし、この「任意継続」を利用するなら次のような点に注意です。
- 保険料はこれまで会社が負担してくれていた部分も含めて全額自己負担
- 加入期間は2年間が限度(その後は別の保険制度に移行する)
- 継続して2ヶ月以上健康保険の被保険者であったことが必要
- 任意継続の申請は、退職日の翌日から20日以内にすること
任意継続を選択すると、会社員のときに給料から天引きされていた健康保険料(自己負担分)はもちろん、会社が負担してくれていた分も全額自分が払っていくことになります。
そして、保険料は退職時の標準報酬月額をもとに決定されます。
ちなみに最高の保険料負担額は、標準報酬月額28万円の保険料と決められています。
「任意継続」を利用できる期間は、2年間限定のため、期間が終了すれば別の保険制度に移らないといけない、ということになります。
もし、「任意継続」を適用したいのであれば、勤務時代に加入していた健康保険協会や健康保険組合に退職後20日以内に申請をしなければいけないので、早めに手続きすることが必要です。
扶養のご家族がいれば、その手続きも合わせて必要です。
国民健康保険
任意継続を選択しなかったあなたは、市町村の運営する「国民健康保険」に加入することになります。
保険料は前年の確定申告書や源泉徴収票の所得や家族の人数、固定資産税などをベースに決定されます。
だから退職前の給料がよかったのであれば、保険料は高くなる可能性があります。
市町村によって計算方法は異なります。
手続きは?
住民票のある市区町村などの役所で手続きします。
退職日の翌日から14日以内。こちらもスケジュール的には余裕がありません。
国民健康保険に加入する場合、退職日の翌日から加入することになるので、手続きが遅れたとしても、保険料は遡って納付することになります。
ということで結局、保険が切れる期間はないことになります。
念のため。
健康保険(任意継続)と国民健康保険 どっちを選べばいい?
ということで、基本はこの2つのどちらかから選ぶことになります。
- 健康保険(任意継続)
- 国民健康保険
退職前の健康保険を任意継続するか、国民健康保険(食品国保や建設国保は考慮外)に加入するかどちらがいいのか?というのは、実に悩ましいところ。
それぞれの保険料の負担金額も判断基準の1つになるでしょう。
国民健康保険料を選ぶなら
まず、国民健康保険料がいくらになるかは、市区町村など役所の窓口で確認をしてみましょう。
自分で計算できるという計算につよい方なら、市区町村のHPにも、保険料の計算方法は掲載されているので、確認してみましょう。
その結果、国民健康保険に加入することに決めたなら、退職日の翌日から14日以内に退職日の確認できる書類(離職票や退職証明書など)と認印をもって役所にいきましょう。
健康保険(任意継続)しようかな?というあなたへ
一方で、負担する保険料を把握した上で健康保険の「任意継続」することを決めたなら、退職日の翌日から20日以内に「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を勤務時代に加入していた健康保険協会に忘れずに提出します。
勤務時代の加入が健康保険組合の場合には、個別に確認をお願いします。
そして第1回目の保険料を納付するのもお忘れなく。
一度でも納付ができなかったら「任意継続」はそこで終わりです。
編集後記に上手に付き合うためのヒントがあります
フリーランスとしてやっていくのであれば、開業当時の支出はできるだけ抑えたいというのが本音。
とはいえ、期限があるなかで、どちらかを選ばないといけません。
これはこれで大変なのですが、フリーランスになるというのはそういうことで。
これまでは会社がやってくれていたことも、すべて自分でやる必要があります。
【編集後記】
任意継続を選択した場合にも、2年間の途中で、所得などをベースに保険料を決定する国民健康保険料の負担のほうが少なくなるケースもあります。国民健康保険への加入は任意継続の資格喪失の理由にはならないのですが、保険料の納付ができなければ・・・。(笑)決定したことをそのままにしておかずに、検証することが必要ですね。^_^